出版社内容情報
村人に嫌われていたおにぼう。大雨の際、村人に助けを求められて、がけの上の大岩を動かし、川の水をせき止めようとしたところ……。
くすのきしげのり[クスノキシゲノリ]
児童文学作家
伊藤秀男[イトウヒデオ]
画家
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
56
心優しい鬼の子おにぼう。大好きな母親を人間の鉄砲で失くしてしまう。それでも、人と仲よくするようにという母親の言いつけを守り、人間の子供たちと仲よく遊んでいた。だが、それを知った大人たちは……。切ないお話。無垢なおにぼうに対し、身勝手で非情な人間たち。あたまから鬼は悪者と決めつける人間たちが醜い。だが、こういう価値観は、いまの世の中でもごくありふれたことなのかもしれない。自戒 しなければ。少しだけ優しいラストが救い。2022/09/13
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
45
見た目だけで鬼は悪者と決めつける大人たち。それに比べて子供は話をして、心まで見抜く力があり素直である。耳が痛い。最後はホロリ・・。悲しい切ない話でしたが、とてもいい話でした。2021/03/13
紫陽花と雨
33
司書をされている読友さんに「泣けるよー」とオススメしていただいた本。はい、泣きました(T_T)おにぼうは優しい鬼の子。優しいお母さんと2人山奥で暮らしているが…。差別し暴力を振るいながら村のピンチの時ばかりおにぼうをあてにする庄屋をはじめ村の大人たちに怒りを覚える。それでも友だちのため、おにぼうが必死に頑張る姿、振り返った笑顔がもう…泣ける。子どもたちがおにぼうの味方になってくれたことに救われる。きっとお母ちゃんと一緒にずっと村の子どもたちを見守っていると思う。悲しいけどいいお話でした。2019/06/06
chiaki
29
節分に合わせての紹介予定本。『泣いた赤おに』や『おにたのぼうし』に並ぶ切ない鬼の物語。人間に会ったらだれにでも優しくすること、どんなときも乱暴をしてはいけないこと、そうすれば人間と仲良くなれる日がきっと来ると言い残した母の言葉を信じ、おにぼうは母を殺した人間への怒りを胸におさめて、優しい鬼へと成長します。身勝手な人間の行いに、悲しくやりきれない気持ちで胸が引き裂かれそう。鬼とは本当に邪悪な存在なのでしょうか。子どもたちの「とうさまたちこそ鬼じゃないか!」という必死の叫びに本当の鬼とは何か考えさせられます。2020/01/19
chiaki
27
3年生ブックトーク『本当の鬼って?』にて使用。導入時、鬼へのイメージを聞いたところ、「こわい、らんぼう、暴れん坊…」などなどマイナスな印象ワードが出てきたのでシメシメ♪そのイメージをひっくり返したような鬼の本の紹介に、興味深く聞き入ってくれました。貸出にもつながり安堵。2020/02/07