出版社内容情報
画描きの拾楽とかかわりの深い同心・掛井が思いがけない一面を見せる。
内容説明
江戸は根津宮永町にある「鯖猫長屋」の朝は、今日も賑やかだ。長屋の面々を“仕切って”いるのは、鯖縞模様の三毛猫サバ。そんなサバには人間の子分が二人いる。飼い主で画描きの拾楽と、「成田屋の旦那」と呼ばれている定廻同心・掛井だ。その掛井が手下の平八をかばって窮地に立たされる。拾楽がサバの力を借り、事件の核心に迫っていくと…。謎解きと人情が交錯する人気シリーズ第六弾。
著者等紹介
田牧大和[タマキヤマト]
東京都生まれ。2007年、「色には出でじ、風に牽牛」(刊行時に『花合せ』に改題)で小説現代長編新人賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SJW
127
巻頭の根津、上野、湯島、下谷の地図を見ていると現在の建物や駅などが重なり、サバや拾楽の登場人物が現代に現れてくるようで不思議な感覚。今回は長屋に何かが取りつき、軋みや異音が店子を怯えさせ、拾楽に後悔の念を感じさせてしまう。拾楽と成田屋の掛け合いに笑ってしまい、サバの気持ちを伝える拾楽の言葉にも笑えるのが大きな魅力。2020/01/11
初美マリン
123
さば並みの犬離れした犬がでてきて、動物は健気で賢い!と。さばの不思議さはパワーアップ。2019/04/02
はる
104
面白かったです。何よりおはまちゃんの成長が嬉しい。ラストの啖呵に胸がすく思い。孤児の少女と犬の「おっかあ」のエピソードが哀しかったです。この子のこれからが気になるけれど、これっきり?天空坊もちょっと楽しいキャラクターなので、今後も登場してほしいかな。師匠が誰かも気になるし。ところで、あとがきのサバの語り口はちょっと違和感が…。2019/09/28
ぶち
99
このシリーズ、毎回のように犬が登場してくるのも嬉しいところです。今回は、幼い女の子と白い犬。女の子は犬のことを"おっかあ"と呼んでいます。まるで白い犬に育てれらているかのようです。その経緯も、別れも、涙を誘います。サバも相変わらずの妖の力を発揮して、この犬と会話し、説得までしちゃいます。妹分のさくらも少し妖の力があるようで、サバの手助けをするようになってきました。こんごどのように育っていくのでしょう。捨楽とおはまの関係もほんの少し進展したようで、今後が楽しみです。2020/04/04
タイ子
87
シリーズ第6弾。前作の終わりであざみが捕縛される時、おはまに囁いた言葉が気になっていたのが判明。それ聞いたらやっぱ驚くよね。それ故におはまちゃんの今回の成長が良かった。鯖猫長屋がポルターガイスト現象に!?サバは家出するわ長屋の連中は落ち着かないわ、そこにもってきて怪しい坊主が厄除けにとやってくるわ、読ませますね~。中でも犬と女の子の親子みたいな関係が切なくてウルっと。サバの子分の掛井の旦那の男気はやっぱいい!捨楽とおはまの仲が一歩進んで二歩下がるで、サバ曰く「勝手にやってろ」なので見守ることにします。2019/03/30