出版社内容情報
斎藤道三の娘で織田信長に嫁いだ帰蝶(濃姫)。その謎多き人生に大胆に迫り、女の目線から信長の天下布武と本能寺の変を描いた衝撃作。
諸田 玲子[モロタ レイコ]
著・文・その他
内容説明
“美濃のマムシ”斎藤道三の娘で織田信長に嫁いだ帰蝶。残虐さをあらわにしていく夫と、従兄の明智光秀の間で苦悩しつつ、織田家の奥を取り仕切る帰蝶を支えたのは…。時代の波に翻弄されつつも、戦国の世をたくましく生きる帰蝶の生涯を描く力作長編。
著者等紹介
諸田玲子[モロタレイコ]
1954年、静岡県生まれ。上智大学文学部英文科卒業。外資系企業勤務を経て、向田邦子らのテレビドラマのノベライズや翻訳を手がけた後、作家活動に入る。96年、『眩惑』でデビュー。2003年、『其の一日』で第24回吉川英治文学新人賞、07年、『奸婦にあらず』で第26回新田次郎文学賞、12年、『四十八人目の忠臣』で第1回歴史時代作家クラブ賞作品賞、18年、『今ひとたびの、和泉式部』で第10回親鸞賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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納間田 圭
125
とても魅力的に映る…彼女。天下人織田信長の正室で。下克上の権化マムシの斎藤道三の娘で。そしてあの明智光秀のいとこで。きっと…ジェットコースターのような人生だったのだろう。1549年15歳で美濃国から輿入れして来た濃姫こと帰蝶。織田信長の偉業”天下布武”を支えた彼女の存在感。京のあきんど…立入宗継。”うつぎ”という内通者の女。池の鯉の飼育係の足軽”佐兵衛”。徳姫と植原左京亮の禁断の恋。上洛を誘う名物茶器「楢柴」の罠。日輪が欠ける日蝕と…本能寺の夜。2022/07/29
はつばあば
51
「信長のシェフ」を読んだ後で、この帰蝶を読めたことでなにもかもスッキリしました。帰蝶、道山の娘で信長の嫁であり光秀の従妹。自分の子を持たず、信長の生殖本能の後始末に追われるばかりかと案じておりましたが、ほのかな恋に近い感情を持つ殿御がおられたことに安堵。その殿御は御蔵職の立入氏。信長を増長させたのも光秀を焚きつけたのも彼ではないだろうか。都にはこのような剛胆な男で帝をお守りするのは八瀬童子だけかと思っていたがコミックで知った御蔵職。勉強になりました。そして信長に恐れを見せない肝っ玉帰蝶。惚れ惚れしました2021/06/27
巨峰
49
明智光秀の出自については、本姓がわからんとか足軽だとかいろいろ言われますが、この小説のとおり、帰蝶の縁戚であるがゆえに、信長に仕え、能力があるために出世したと思います。織田家においては尾張衆と美濃衆が双璧扱いだったのも信長と帰蝶の結びつきによるのではないかと。そのうえで上手くフィクションを混ぜて読ませる小説だと思います2025/04/09
shoko
24
史実とは異なるところもあるのかもしれないけれど、大河をもっと楽しむためのツールとしても良かった2020/05/28
みやしん
13
文庫で再読。熟年離婚寸前で踏みとどまっているような精神状態の、女性作家(兼信長ギライ)らしいアプローチの時代小説。おくびにも出さない、夫への冷めた感情の裏で終始家中の武将以下の者達への派閥政治に腐心するストレスはいかばかりか。信長と家康以外台詞ありのメジャー武将が殆どおらず、主人公も表立ってチャンバラするわけにもいかないから、痛快活劇とはジャンルが異なるからえらく読むのに時間がかかった。事変の真の黒幕とは・・・2019/12/17
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- 和書
- たんぽぽ娘 河出文庫