出版社内容情報
漱石を語って読者に人気の著者が綴る、漱石先生をテーマにした随筆集の決定版! 知られざる文豪の素顔が明かされる漱石ファン必読の書。
半藤一利[ハンドウカズトシ]
作家
内容説明
『吾輩は猫である』『坊っちやん』『草枕』―あの名作にこんな読み方があったのか!本書は、夏目漱石の義理の孫に当る著者が書いた、漱石に関する「探偵的与太話本」の決定版。今なお愛される漱石作品を、歴史探偵を自称する著者ならではの視線でユーモラスにひもとく。教科書には載らない“新発見”を楽しむ、没後100年、生誕150年の節目の年に読みたいファン必読の書。文庫オリジナル。
目次
第1部 漱石文学を探偵する(プロローグ 漱石文学は現代文学である;『吾輩は猫』と遊び戯れる;『坊っちやん』『草枕』の周辺散歩;「小説家たらん」とした秋;ある日の「漱石山房」;漱石文学を楽しんで語る;エピローグ 晩年の漱石先生)
第2部 中国文学と漱石俳句(荊軻の「風蕭々として」;『老子』の「愚に徹する」;『蒙求』と陶淵明と李白と;おもしろい俳句26句)
著者等紹介
半藤一利[ハンドウカズトシ]
作家、歴史探偵を自称。1930年東京生まれ。1953年東京大学文学部卒業。同年(株)文藝春秋入社。「週刊文春」「文藝春秋」各編集長、出版局長、専務取締役などを歴任、退社後、文筆業で活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kei
14
まず、端正な文章で読みやすいのに、居ずまいがただされる感じです。漱石の何周年記念で、様々な特集がありました。有名な作家や大学の先生方が様々な意見を。一応、私にも、虞美人草に関する考察があるんだけど。(笑)と、いうふうに、読者を探偵にさせる魅力が、漱石にはあります。原本に連なる周辺事情の読み解きは、身内兼編集者の作者ならこそです。久しぶりに、楽しい一冊でした。2017/03/13
Timothy
7
半藤氏の漱石先生本はとても面白いので是非手元に揃えてみたいが、あいにく版切れで新刊書店では手に入らないものばかり。特に一作目などはほんの5年前(生誕150周年)にはそこら中で山と積まれていた様子なのに、好きになるのが遅すぎたのだろうか。本書は唯一普通に買えたもの。漱石の使う当て字を調べるのは楽しそうだ。また最終章など、漱石の言い回しや俳句の背景にある漢文学を探偵するところも興味深く読んだ。「闌干に倚れば」といえば漱石自身の「唐詩読罷倚闌干…」を思い出す。高校の教科書に載っていた漢詩だ。2022/02/28
よし
6
前作に続き、漱石の人となりや名作にまつわる話を楽しく読めた。森鴎外や石川啄木とのエピソードや「坊ちゃん」・「我が輩は・・」の創作秘話も面白かった。「ある日の漱石山房」の章で、門下生たちとのエピソードは心温まった。また、「世の中をどのように暮らすか?」との問いに、「そうさね、マアふところ手して小さく暮らしたい。」など、漱石の素顔に共感。死ぬ20日前の漢詩「空中 独り唱す 白雲吟」は草枕の世界そのもの。そこに漱石の心の墓があると言った作者に納得。繰り返し読んできた漱石作品をもう一度、読み直したくなった。2017/06/04
イワハシ
5
漱石の義理の孫にあたる著者による、漱石作品に関するエッセイ。重箱の隅をつつくような話だが、面白く読めた。こういうのは好きだ。先行書があるとのことなので、遡って読んでみたい2022/05/21
Ryoichi Ito
2
「我輩は猫」に出てくる「行徳の俎」の話が興味深かった。江戸川河口の行徳は塩の大生産地だったが,大正6年の津波・高潮で壊滅。台風によるこの高潮は死者・行方不明者千三百人という大災害だった。2017/08/30
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