出版社内容情報
「慶次郎縁側日記」シリーズ等で人気を博した著者の、書籍化されていない短編を発掘し、一冊にまとめた短編集。幻のデビュー作も収録。
北原亞以子[キタハラアイコ]
作家
内容説明
めったにない幸運は、ある日突然やってきた。鮓売りの与七が、こはだの鮓を分けてくれたのである。作兵衛は、夢にまで見た鮓に小躍りするのだが…。江戸の浅草が舞台の表題作をはじめ、本所を舞台に職人の日常を描いた「たき火」「泥鰌」など、市井人情ものの単行本未収録短編小説に加え、幻のデビュー作「ママは知らなかったのよ」と、新選組関連作品の原点とも言える読み物を特別に収録した作品集。
著者等紹介
北原亞以子[キタハラアイコ]
1938年、東京都生まれ。石油会社、写真スタジオを経て、コピーライターとして広告制作会社に入社。69年、「ママは知らなかったのよ」で新潮新人賞、「粉雪舞う」で小説現代新人賞佳作、89年、『深川澪通り木戸番小屋』で泉鏡花文学賞、93年、『恋忘れ草』で直木賞、97年、『江戸風狂伝』で女流文学賞、2005年、『夜の明けるまで』で吉川英治文学賞を受賞。2013年3月12日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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酔拳2
24
江戸の市井ものかと思ったら、平安時代から昭和後期までの多彩な時代の短編集でした。共通するのは登場人物が生き生きしているというか、生身を感じさせるところかな。特に戦時中の十一月の花火や、本所界隈がよかったなー。登場人物の心の動きがよくわかる。切なさとか、やるせなさとか、思いやる心とか…2024/10/05
アーちゃん
22
「深川澪通り」シリーズや「慶次郎縁側日記」シリーズで有名な著者の、単行本未収録短篇小説と、デビュー作の「ママは知らなかったのよ」及び「新選組、流山へ」を特別収録した文庫本。舞台が江戸時代だけでなく、平安から昭和までと幅広いのに驚きました。また、かなり前に「父の戦地」を読んだことがあるので、「十一月の花火」がご自身の体験をふまえた作品だとわかりました。発表年代もデビュー前の同人誌のものから90年代までと様々ですが、北原さんはやはり江戸の市井ものが一番しっくりくる方なのだと思います。2018/03/18
ドナルド@灯れ松明の火
19
北原さんの未刊行短編集。デビュ作「ママは知らなかったのよ」を含む、時代小説や大正昭和時代の各編。初期時代作品から後期の作風が感じられる。戦時中の話「十一月の花火」が良かった。2017/01/24
信兵衛
19
デユー作「ママは知らなかったのよ」収録をはじめとして、北原亞以子さんの原点を感じさせる作品集。2016/09/09
たんぽぽ
18
北原亞以子さんの単行本未収録の作品集、幻のデビュー作も収録…とのことで読んでみました。 慶次郎縁側日記や深川澪通りのような完成度の高さはありませんが、北原さんらしさが感じられます。 北原さんの新作を待つ楽しみがなくなったことがただただ寂しです。2016/09/24
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