出版社内容情報
父の汚名を晴らすため江戸に住む笙之介の前に、桜の精のような少女が現れ……。人生のせつなさ、長屋の人々の温かさが心に沁みる物語。
【著者紹介】
作家
内容説明
父の汚名をすすごうと上総国から江戸へ出てきた古橋笙之介は、深川の富勘長屋に住むことに。母に疎まれるほど頼りなく、世間知らずの若侍に対し、写本の仕事を世話する貸本屋の治兵衛や、おせっかいだが優しい長屋の人々は、何かと手を差し伸べてくれる。家族と心が通い合わないもどかしさを感じるなか、笙之介は「桜の精」のような少女・和香と出逢い…。しみじみとした人情が心に沁みる、宮部時代小説の真骨頂。
著者等紹介
宮部みゆき[ミヤベミユキ]
1960年、東京生まれ。87年、「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞、92年、『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、『本所深川ふしぎ草紙』で吉川英治文学新人賞、93年、『火車』で山本周五郎賞、97年、『蒲生邸事件』で日本SF大賞、99年、『理由』で直木賞、2001年、『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、02年に同書で司馬遼太郎賞、07年、『名もなき毒』で吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
389
10年くらい前まで食わず嫌いだった時代モノ、宮部さん以降、大きくわたしの読書人生変わりました。相変わらずの読みやすさ、登場人物の優しさ、文章の軽快さに、一気読み。下巻での、伏線の回収が楽しみ。2017/12/17
yoshida
257
宮部みゆきさんの時代物。安定した面白さがある。古橋笙之介は上総の搗根藩から江戸へ出る。父が冤罪で自裁し古橋家は断絶。江戸留守居役の坂崎の元で古橋家の再興を図ろる。深川の富勘長屋で暮らす笙之介。長屋の人々との交流と人情。「桜の精」のような和香。富勘長屋での事件を解決しつつ、搗根藩内の暗闘を知る笙之介。古橋家の再興は果たせるのか。母や兄との縁が薄い笙之介にとって江戸で知り合った人々との毎日は、血縁以上に暖かい縁を教えてくれる。上巻では登場人物に悪人がいないのも異色である。春の日溜まりのような読後感がある作品。2018/05/13
さと
137
はらはらと散る花びらを眺めるとき どういう訳か心がほぐれ優しくなる気がする。淡い桜の色と花びらがまさに笙之介そのもの。父の汚名を雪ぐため江戸は深川、冨勘長屋に住まうことになったもののはてさて何をどうしたものか・・・。江戸っ子の人情、和香さんへの慕情が笙之介の運命にほんのり色を付けていく。「人は己の見たものを描きます。それは字でも絵でも同じ。見ているもの、見えているものが異なれば、それを写して書いたり描いたりするものも異なるのはむしろ自然なことでござろう」何も見えないものの中に笙之助が何を見ていくのか楽しみ2016/04/16
ううち
132
久しぶりの宮部みゆきさん。搗根から江戸へ出てきた笙之介の、濡れ衣を着せられた父の仇を取るという本題がありつつ、賑やかな長屋の人たちとのちょっとしたイベントや謎解きがあり、穏やかなストーリーでとても読みやすい。挿絵がキュート。笙之介と和香がどうなるか…?下巻へ。2018/08/25
ガチャ
116
時代小説は耳慣れない言葉が出てきて、つっかかってばかりだったけど、途中からどんどん物語に入り込んでいけました。 父親の無念をはらすために江戸に出てきた笙之介。 とっても頼りない侍だか、彼の周りにいる人達は皆いい人達で温かく、彼等のやりとりに和ませてもらった前編! 本筋の解決にはまだまだ至らないけど、今後の展開が楽しみです。 2019/06/11