出版社内容情報
大誤算だった家康の小山評定、自領拡大に野心満々の毛利家……。「予定調和」のストーリーで語られがちな関ヶ原合戦の真の実像に迫る!
【著者紹介】
歴史家、文学博士
内容説明
天下分け目の関ヶ原合戦で、「家康は勝つべくして勝ち、石田三成は負けるべくして負けた」と語られるのが定番だが、真実だろうか?実は、関ヶ原合戦ほど、後世の脚色が現代まで流布している戦いはない。本書は、大誤算だった家康の小山評定、領土拡大に野心満々の毛利家など、予定調和のストーリーに隠された「不都合な真実」を明らかにする。家康は“賊軍の将”に転落していた!?
目次
序論 「官軍」「賊軍」が目まぐるしく大逆転した関ヶ原
第1章 五大老・五奉行体制の虚構
第2章 独裁化を強める徳川家康
第3章 大老・毛利輝元と宇喜多秀家の苦悩
第4章 三成の挙兵と家康の大誤算
第5章 関ヶ原前夜の駆け引き
第6章 創られた関ヶ原の戦い
終章 すべてを見通す「家康神話」のはじまり
著者等紹介
安藤優一郎[アンドウユウイチロウ]
1965年、千葉県生まれ。歴史家。文学博士(早稲田大学)。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業、早稲田大学文学研究科博士後期課程満期退学。江戸をテーマとする執筆・講演活動を展開。JR東日本大人の休日・ジパング倶楽部「趣味の会」、東京理科大学生涯学習センター、NHK文化センターなど生涯学習講座の講師を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
憲法記念日そっくりおじさん・寺9条
72
面白い!関ヶ原合戦の本当。『芸術新潮』の今年の6月号は関ヶ原と大坂の陣の屏風特集だったが、そこで渡邊大門が「関ヶ原研究は進んでいる」と、白峰旬や光成準治達の研究書をガイドしていた。それらの本の最新の研究成果だけで作った一冊が本書。狡い気もするがコンパクトにわかって有難い。以下雑感●毛利輝元の存在は小早川隆景ありきだった●秀吉死後の家康は調子乗り過ぎである●毛利輝元は世間で言われる程凡庸ではなく、各所に進攻。上杉景勝も同様。共に自身の領土拡大の為だ。日本が応仁の乱みたいになるかも知れなかった。続く2015/11/05
金吾
27
○予定調和で語られる関ケ原を違う視点から述べている一冊であり、根拠不明な部分はありながらも説得力があり面白いです。毛利に関しては他の本でも同様の話がされているので事実に近いのではと感じています。清正と家康の話も面白かったです。2024/01/07
おぎわら
17
「不都合な真実」のタイトルは温暖化関係のあの本からの転用だろう。徳川政権にとって「不都合な真実」、関ヶ原の合戦の、後世作られた喧伝の嘘を暴き真実を暴露するというような触込だが、前半と後半に矛盾があったり、重要な新事実、新解釈の根拠が示されていなかったり(参考文献は示されているが)、その新事実自体、解釈次第でどうとでも取れそうだったり、どう解釈してもさほど違いがなさそうで、あまり重要な真実ではなさそうだったり、というわけで何だか残念な一冊。とは言え、新幹線内の暇潰しとかには最適な面白さ。関ヶ原も通るのでね。2017/11/29
鐵太郎
17
関ヶ原合戦は、巷間言われるように、徳川家康の一方的な予定調和的勝利であったという通説は間違いで、家康は薄氷の勝利であった、と作者は論じます。そのためにいろいろ資料を集めます。しかしそもそも、家康の一方的な優位ではないという説はいままでにもう出ていること。それをここまで結論ありきの手法で都合のいい例ばかり集めても、いささか鼻白むばかり。結局、家康が一枚上だったと言う結論になっています。ふーむ。2017/06/25
岡本
9
一般的に知られる関ヶ原の戦いとは勝者である徳川家に都合良く脚色された物であり、秀吉の死から関ヶ原までの真実を纏めた一冊。一般的に言われる石田三成悪玉説や毛利輝元凡将説は覆ったものの、三成の人間関係の悪さや輝元の政治力の無さは否めない。家康に関しては合戦の強さでは無く、先を見据えた目論見等の政治力の高さを証明する感じだった。三成は朝鮮出兵の時の因縁が足を引っ張り続けたなぁ…2015/11/23