出版社内容情報
雨が降ると聞こえてくる足音は、亡くなったあの子のものだった――短篇の名手が贈る、泣けて笑えてゾクッとくる16のストーリー。
【著者紹介】
作家
内容説明
現在、過去、未来、そして虚構の世界―それぞれを「箱庭」に見立てて紡がれた、涙あり、笑いあり、恐怖ありの珠玉の物語が一冊に。“出る”と噂の部屋に住んだホラー小説家、夜中に母を待つ男の子のもとを訪ねてきたカラスのような男、一冊しか本のない図書館に導かれた姉と弟、雨が降ると現れる亡くなった孫を待つ祖母など十六の物語世界を、少年は白馬とともに旅をする。短篇の名手の真骨頂が味わえる連作集。
著者等紹介
朱川湊人[シュカワミナト]
1963年、大阪府生まれ。慶應義塾大学文学部卒。出版社勤務を経て、2002年、「フクロウ男」で第41回オール讀物推理小説新人賞を受賞。翌03年、「白い部屋で月の歌を」で第10回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞。初の著書となった『都市伝説セピア』が第130回直木賞候補となり、05年、『花まんま』で第133回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
101
朱川さんの短編集です。非常に面白い作品ばかりが16収められています。ほろっとするものがあったり、怖い感じのものがあったりします。宮沢賢治の作品に似たものと思いきや肩透かし、あるいは「一冊の図書館」のような外国の恐怖小説を思い起させるような作品など楽しめました。2021/06/26
Bugsy Malone
86
ちょっと怖かったり、切なかったり哀しかったり、それでいて心暖まったりもする物語が16編。少年は、白馬と共に時空を越え、そんな人々の人生を垣間見る。次はどんな物語を旅するのだろう。どんな人々に出会うのだろう。まだまだ少年の旅は終わらない。2018/03/14
アッシュ姉
66
朱川さん16冊目。いろいろな不思議世界を旅した気分が味わえる連作短編。語り口も様々で最初馴染めないものもあったが、読んでいくにつれ次はどんな語り手が待っているのか楽しみになった。ほろっとじんわりした「クリスマスの犬」と「黄昏ラッパ」がお気に入り。「暗闇カラス丸」と「夜歩き地蔵」には会いたくないけど、怖くて面白かった。続編も二冊出ているので、こちらのシリーズも追いかけたい。2017/08/28
NADIA
48
白馬とともにさまざまな異世界を旅する少年。時にはその世界の人物に乗り移って(?)いろんな人生を体験する。切ない話、ホラー調、お笑い系、いろいろな味わいの16編の物語だけど、最後の「月の砂漠」が妙に雰囲気があって良かったと思う。その他に微妙に物語同士がリンクしているものもあったりしてにやりとさせられた。 2019/01/26
るい
42
そういえばわたしの好きな本は、その時代に触れ、場所を感じ、情景や風の匂いですら漂ってくるような、そこにいる人物に会えたような気になるものばかりだ。 色んな人物に変わりあちこちの物語を旅する主人公はそんなことをふと思い出させてくれた。 ひゅっと心をもっていかれる瞬間が何とも心地良い。2021/02/15