出版社内容情報
出世しすぎる主を持つと、ついていくだけで精いっぱい――家臣達の目を通して“人たらし”秀吉の真実の姿を浮き彫りにした連作短編集。
【著者紹介】
作家
内容説明
秀吉は本当に“人たらし”だったのか!?―一介の草履取りから、天下人へと駆け上がることができたのは、その人間的な魅力が大きいとされる。しかし、出世しすぎるあるじの下、右往左往した家臣たちがいた…。加藤虎之助(清正)、蜂須賀小六、小西行長といった著名人から、坪内喜太郎、御子田半左衛門など、あまり知られていない侍まで。家臣の視点で描くことで、これまでにない秀吉像が浮かび上がる。
著者等紹介
岩井三四二[イワイミヨジ]
1958年、岐阜県生まれ。一橋大学経済学部卒。メーカーに勤務する傍ら小説を執筆し、96年、『一所懸命』で小説現代新人賞を受賞してデビュー。98年に『簒奪者』で歴史群像大賞、2003年に『月ノ浦惣庄公事置書』で松本清張賞、『村を助くは誰ぞ』で歴史文学賞を受賞。05年、『十楽の夢』が直木賞候補になる。08年に『清佑、ただいま在庄』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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優希
47
秀吉に仕えた7人が語る秀吉像は色々な側面が見れて面白かったです。ただの成り上がりのイメージがありましたが、部下を持つことで、戦国武将の力量もあるのだと思いました。2022/07/19
onasu
23
「豊太閤の話しをお聞きになりたいと」、二代将軍秀忠の御前に伺候したお伽衆山名禅高が、見聞きした七話を披露していく。この造りは正直なところ蛇足的なものも多いが、こちらではいい繋ぎにもなっている。 話しの方は、秀吉が出世の糸口をつかんだ、義兄弥助(後の三好良房(秀次父))から馬を借りた話しから、朝鮮の役での交渉で板挟みになった小西行長まで、要所要所で配下の武将から見た秀吉像が語られていく。 「あるじはXX」は初読みだが予想したよりおもしろく、他の2冊も機会があれば。最後の落ちのみ蛇足だったかな。2018/09/11
ウィズ
19
主が偉大であればあるほど部下は大変です。2014/07/01
maito/まいと
15
「あるじは~」シリーズ第二弾の文庫版。オビにずいぶんなことが書いてあるけれど、人垂らしの秀吉に仕えたら、楽で楽しそうという雰囲気がそもそも間違っているでしょ(笑)秀吉の主君が‘あの’信長なのだから、むしろやることなすことがハードル高くなるのはやむをえないし、秀吉はそれに応えようとしてまたさらにクオリティ(サービス)を高めようとするのだから、(やりがいはあるだろうけど)過酷さは余人以上・・・この本ではそんな秀吉に‘だまされ’がんばった人々の目線がリアルで他人事とは思えない(苦笑)でも、最後の『像』はないわ~2014/05/23
スプリント
13
将軍となった徳川秀忠に御伽衆として使える山名禅高(豊国)が秀吉にまつわる逸話を7つ語る形式で構成されています。それぞれ秀吉の家臣が主人公になっているのが肝ですが、その人選が味があってよいです。坪内玄蕃や神子田正治といったちょっとマイナーな武将が取り上げられています。2019/02/24