出版社内容情報
どんな病にも効くという医師・和久井のワクチンが巻き起こす不思議な物語。気鋭の作家が描くユーモアと、ちょっぴり毒の効いた短篇集。
【著者紹介】
女優、小説家
内容説明
あがり症、重圧に弱い、優柔不断…と誰しも治したい性格の一つや二つはあるもの。当院は、メンタルの弱い部分、治したい心の癖を治療いたします。ルナ先生のワクチンの効果は絶大ですのよ。えっ！？なら患者が長蛇の列を成す？そうよね。でも先生のワクチン、確かに効くのですが…。カランコロンあら、患者さんかしら、失礼しますね。―クスリと笑えるちょっぴりビターな連作短篇集。
著者等紹介
西山繭子［ニシヤママユコ］
１９７８年、東京生まれ。女優、作家。映画『光の雨』『恋愛寫眞』『千の風になって』『気球クラブ、その後』、ＴＶドラマ『瑠璃の島』『白夜行』『結婚しない』、舞台『きみがいた時間 ぼくのいく時間』（キャラメルボックス）等々に数多く出演する。２００７年、初の小説集『色鉛筆専門店』（アクセス・パブリッシング）が話題を呼ぶ（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
dr2006
37
あがり症、優柔不断、人見知り、飽きっぽい、負けず嫌い…そんな心のクセを治してくれるというDr.ルナ。心の中を覗き診て、その場で生ワクチンを調合し注射してくれる💉勿論コメディなのだが、真面目にプラセボ(偽薬)の存在を思い浮かべた。ルナが処方したワクチンは凄く効くだけにちょっと苦いその後がある。人の性格は中々変えられないと云う。自分の性格の嫌な所は直したいと思っていても何とか折り合いを付けて過ごしている。で、それが突然治ると周りの人とのバランスが崩れてしまう。というオチが見えているのに面白いプロットだった⒲2023/04/11
ありす
37
初読み作家さん。まあまあ面白かったです。1話20～30頁の短篇12話の作品で、読みやすかったです。始めはこの頁数に若干の物足りなさを感じましたが、読み進めていくにつれ、この長さが丁度良いと感じました。と言うのも、ホッコリ軽い感じを想像していたんですが、結構ビターな終わりばかり。あがり症、優柔不断、人見知り…と誰もが克服したいと思う性格を、ワクチン一本で治しちゃうルナ先生。効き目は抜群だけど…。ルナ先生の秘密が中途半端に終わったけど続編あるのかな？思ったよりも考えさせられる作品でした。2019/08/31
うまる
29
あがり症、優柔不断などの性格をワクチン一発で治す病院と患者の話。良い話系かと思ったら、全然違ってビックリしました。笑うセールスマンに近い感じで、頼ったらアウト(笑) 悩んでる性格についてはキチンと治る。しかし、今ある人間関係は、その悪い所があった上で築かれてきたものなので、いきなり性格が変わっても満足するのは自分だけ。周りとの調和が取れなくなってしまいます。これだけ治せば幸せになれる、成功するという驕りがダメって事なのかと思ったけど、それだとこの病院の存在意義が全く無い気がするし…成功例も欲しかったなぁ。2019/11/22
＊すずらん＊
28
私達は時に「自分で思う欠点」これさえ無ければ、全てうまくいくのにと思ってしまうことがある。だけど短所は長所でもある様に、この 自分で感じる欠点によって成り立っている部分も多くある。全ての事象は、良い物だけで出来上がっている訳ではない。逆に言えば、悪い部分を取り除いてしまうことによって、物事のバランスは大きく崩れてしまうのかもしれない。そんな危うさを感じる作品だった。エピソードが多く描かれていたが、その分 一話一話の濃度が薄く感じられたのが残念。またルナの過去についても、もっと多くの描写が欲しかった。2013/08/08
みかん
14
12個の短い話が集まった短編集。ホントに短いです。1つ１つの話をもっと深く描いて欲しかったなぁという印象。2013/07/31
