バラバラ殺人の文明論―家族崩壊というポップカルチャー

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バラバラ殺人の文明論―家族崩壊というポップカルチャー

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  • サイズ B6判/ページ数 289p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784569702704
  • NDC分類 368.6
  • Cコード C0030

出版社内容情報

サブカルチャーから日本の家族を読み解く。

「親世代の自己絶対化」が子どもを殺す――。オタク世代の考察で定評のある著者が、映画・アニメを通じて、日本の家族再生について論究。

2006年12月、東京・渋谷の歯科医師一家・武藤家において、予備校生の次男・勇貴が妹にあたる短大生の亜澄を殺害し、遺体をバラバラにする事件が起きた。一般的に「歯科医師一家殺人事件」と呼ばれる同事件を、著者は亜澄への弔意を込めて「短大生バラバラ殺人事件」と記している。

▼同事件から浮かびあがるのは、「現在の日本では“良さそう”に見える家族にこそ病弊が潜むのではないか」という矛盾、もしくは「家族が新しい世代を育成する場ではなく、新しい世代が圧殺される場と化しているのではないか」という歪みの存在だ――と著者は説く。この矛盾や歪みの淵源を探ると、明治以来の「近代」という文明それ自体に潜む問題点にまで行き着くのだという。

▼映画や演劇といったわが国のポップカルチャー(一般文化)作品において「新しい世代の圧殺に起因する家族崩壊」というモチーフが最近目立つことにも着目しつつ、日本全体の未来への展望を指し示す。

内容説明

2006年12月、東京・渋谷の歯科医師一家で、浪人中の兄が短大生の妹を殺害、遺体をバラバラにする事件が起きた。これは「特殊な家庭の異常な出来事」なのか?それとも、現代日本における家族崩壊を端的に表しているのか?ポップカルチャーで「子殺し」や「子供同士の殺し合い」が流行るのはなぜか?ひとりの娘の悲劇の背後に、文明論的な構造がひそむこともある。戦後、いや明治いらいのわが国の道のりを検証しつつ、その構造を浮き彫りにすることで、未来への展望を指し示す。

目次

時代が切り裂かれるとき
崩れゆく「家」と「国」―バラバラ殺人の文明論
親に食われる若者たち―わが国に世代交代はあるか
保守なき国に男女なし―時間と性の政治学
図式さえも持てない人間―本格保守の必要を論ず
妖怪映画と家族再生―保守には「闇」が必要だ
バラバラ殺人と歴史認識―武藤亜澄が「富江」になるとき
論理性なき者の自己嫌悪―本格保守の必要を再論する
「ラディカリズム保守」のすすめ―親の墓に唾をかけろ
近代化と「父」の分裂―保守派が伝統を僧むとき〔ほか〕

著者等紹介

佐藤健志[サトウケンジ]
1966年(昭和41年)、東京生まれ。評論家。東京大学教養学部卒業。1989年、戯曲『ブロークン・ジャパニーズ』で文化庁舞台芸術創作奨励特別賞受賞。小説・評論・漫画原作の著作がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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