内容説明
エデン神話から『美女と野獣』へ、女性が「心」を持つことを許されるまで。エヴァが禁断の果実を口にしてから、女性の「心」は封印されてしまった。その封印が解かれるまでの長い道のりを辿る。
目次
第1章 エデンの園で起こったこと―禁じる父と解き放つ蛇
第2章 おとぎ話に現れる女性の罪―嫉妬・好奇心・虚栄
第3章 「心」と呼ばれた少女の神婚―「エロスとプシュケ」
第4章 心と愛―「エロスとプシュケ」から『美女と野獣』へ
第5章 ディズニー版『美女と野獣』
第6章 産みの苦しみと児殺し
第7章 異類との婚姻
著者等紹介
片木智年[カタギトモトシ]
高知県生まれ。慶應義塾大学文学部教授。専攻は、フランス古典文学、おとぎ話論。パリ第三大学博士課程1989年修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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帽子を編みます
49
意味深な題名です。おとぎ話、神話に描かれた女性の歴史、エデンの園、白雪姫にシンデレラ、エロスとプシュケ…。洗濯女とウブメ、異類婚姻譚。女性が知識を求めることヘのおそれ。どの章も気付きが生まれる内容です。蛇との関わりが特に印象に残りました。日本の伝説でも蛇との交わりはあり、このイメージは何から来るのだろうと思います。モリエールの『才女きどり』、ラシーヌ『フェードル』が読みたくなります。ペロー童話もここでも出てきて、興味のあるものはつながっていくのだなとも思います。2024/02/15
SKH
6
表題、前書き、目次により、「澁澤龍彦」的な内容を期待したため、拍子抜け。2013/11/07
潮見
6
「知ってはいけない」本を開いた僕らも罪を持つという入れ子構造に惚れた。まぁ、僕は少女ではないけど。/『ハリーポッター』のスリザリンのエンブレムは蛇で、確か蛇と喋ることができる魔法使いは皆、そこの所属でしたね。2012/03/23
かずら
5
資料。アダムとイブ、エロスとプシュケ、美女と野獣など、物語における女性と禁忌について語る本。面白かったけれど結構難しかったです。何度も繰り返されているのは「女性が知ること」への忌避感です。かつて(男性に比べて)女性が知識やフィクションから遠ざけられた事実。そして秘密を知ってしまった女性は罰を受けます。こうして「禁忌」がお話のテンプレートとして語り継がれているということは、何かの理由があるのでしょうね。人間世界と自然とのリンクとしての異類婚姻譚についても興味深かったです。物語は変わるものなんですね。2015/07/30
ゆきうさぎ
3
ギリシャ神話、聖書、おとぎ話、日本の妖怪譚まで幅広く、女性達の描かれ方や歴史的背景について解説した本。物語は現実社会を色濃く反映して組み上がると実感する内容。聖書エヴァの原罪についての新解釈、”シンデレラ”や”美女と野獣”に共通する女性観、三輪神話など蛇や牛との異形婚の読み解き方など、興味深い。今後も物語を読む際に、二重三重の視点が生まれそう。これは「少女が知った方がいい」本かも。2015/04/17
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- 和書
- ジャスミンの香り