内容説明
縄文の昔から日本人の底流に流れる「悲しみ」の旋律を描いた渾身の作品。
目次
宮沢賢治の挽歌
寂寥に生きた万葉人
「もののあわれ」と「もののけ」
『徒然草』に吹く無常の風
源義経は祟らず
天災は忘れたころにやってくる
源実朝がみた「青女」
日本の阿闍世王・北条時頼
能と歌舞伎のドラマツルギー
芭蕉に流れる乞食願望〔ほか〕
著者等紹介
山折哲雄[ヤマオリテツオ]
1931年サンフランシスコ生まれ。東北大学文学部卒。国立歴史民俗博物館教授、京都造形芸術大学大学院長、国際日本文化研究センター所長などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サワ
14
死んだつもりで生きる能、木偶なるものに息を吹き込む歌舞伎…能と歌舞伎はドラマツルギー。 日本人とは「私」ではなく「私たち」。文化も同じで、○○の文化ではなく、文化たち。日本の歴史が、深いところで悲しみの精神でつながっていることを悟りました。2022/01/21
nizimasu
3
山折先生の人生訓話みたいなものかと読み進めてみるといきなり宮沢賢治が妹の死についてなげく詩の話が始まる。そうした「哀しみ」のエピソードの数々を紹介しながらその折々の感情を丹念になぞっていきながら文章は進む。かなり不思議な内容で面食らっていたら後半になり友人である江藤淳の自殺について著者の交友と共に語られるその哀しみの深さに驚かされる。世の中に成功譚があれば悲劇譚もあってもいい。そんな内容であった。哀しみこそが日本人の深い根の部分にあるのではないかという視点に深く共感した。ハレでなくケの文章も味わい深い2015/12/21
take
0
自分には無かった、違った角度でいろいろ考えさせらる。 深い悲しみ の 自己浄化力 幸福獲得への脅迫観念→精神不安 ・ヒトとヒトの比較をやめる →比較はモノとモノでする ・だますより、だまされる人間になる →人を信じてだまされる幸福、無欲であれば騙されない。 ・一人で歩く →散歩で胸中の鬱屈が晴れる、涙がながれ 乾いていく 万葉人→富士山は恐ろしい異界の山 源氏物語の もののあわれ と もののけ 能と歌舞伎 老木に花の咲かんが如し 葉隠 出家道と武士道 慈悲と勇気2016/10/12
佐藤太郎
0
まえがきと気になった章だけ流し読み。まえがきは素晴らしいが中身は凡庸な文学解説とエッセイなので特に感想は無い。が、明治以前は現在と生活背景が乖離していて、描かれる世界も限られた書物や著者の想像でしか無く、言ってみればファンタジーだから、それを事実として実感を持って受け入れる才能の無い自分にとっては、真面目に感情移入して読もうと努力する時間が無駄だと素直に認められるようになった。まえがきに共感した感性の人の本ですらそうなのだから。通史系の解説本を基礎とか必読とする幻想から覚めた気がした。2024/07/12
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- 和書
- 南無阿弥陀仏 ハルキ文庫