内容説明
日本の鎖国が解かれてからも、キリスト教はなお宣教が許されなかった。沖縄での孤立と島人に溶け込んでいった奄美での日々。慣れない気候の中で、多くの仲間を病気や水難で失いながら、地震の被害の中でも住民に手をさしのべつづけた神父たち。在日50年を越え、長崎の崎津教会の墓地に眠るハルブ神父が大正期に書きとめた、初期奄美沖縄のカトリック宣教の情景が、いま生き生きとよみがえる。
目次
第1章 琉球
第2章 神父たちのみた奄美大島
第3章 大島の神父たち
第4章 大島での対立と大きな収穫
第5章 大島の人びととの別れ
パリ外国宣教会との出会い
奄美・沖縄カトリック宣教史関係年表
日本に眠るパリ外国宣教会宣教師列伝
翻訳にあたって参照した文献
著者等紹介
ハルブ,A.[ハルブ,A.] [Halbout,Augustin Pierre Adolph]
1864年11月2日フランス北西部セ(S´ees)教区で生まれた。パリ外国宣教会に入り、1888年9月司祭に叙階されるとただちに宣教師として日本に派遣され、奄美と長崎で大きな足跡をのこした。奄美では「赤ひげ神父様」と呼ばれ、地元の人と区別がつかないほど上手に島ことばを話し、西洋野菜の作り方を教えるなど親しまれた。いくつもの教会建築を手がけた。熊本県天草の崎津教会で日本滞在56カ年の生涯を終え、1945年1月14日帰天した
岡村和美[オカムラカズミ]
九州大学文学部仏文学科卒業。山口日仏協会理事。樋口かずみの筆名で、『九州文学』同人を経て、『文芸山口』同人
安渓遊地[アンケイユウジ]
人類学専攻。奄美沖縄と熱帯アフリカで人と自然の関係を研究。京都大学理学博士。山口県立大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。