オッペンハイマー〈上〉―「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇

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  • サイズ B6判/ページ数 503p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784569692920
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0098

出版社内容情報

2006年ピュリッツァー賞受賞作品。「原爆の父」と呼ばれた一人の天才物理学者J.ロバート・オッペンハイマーの生涯を丹念に描くことで、人類にとって国家とは、科学とは、平和とは何かを問いかける全米で絶賛された話題作の邦訳。

 裕福な家庭に生まれたオッペンハイマーがその才能を開花させていく過程を綴る。彼は学問に打ち込む一方で、心身のバランスを崩し、なかば躁鬱の状態に陥る。ドイツのゲッチンゲン大学に招聘されたころから、症状も改善し、理論物理学者としての前途が大きく開けてくる。やがて、原爆プロジェクトの委員長に任命され、開発にあたるようになる。研究にあたっては、彼自身の中に忸怩たる思いもあったようだ。1945年7月16日早朝、実験が成功した彼は「われわれ全員がこの瞬間“ちくしょう”になってしまった」と呟き研究所をあとにする。

内容説明

一人の天才物理学者の生涯から見えてくるアメリカという国家の光と影。ピュリッツァー賞受賞作品。

目次

彼は新しいアイデアのすべてを、完璧に美しいものとして受け入れた
独房
とても苦しい日々を送っています
勉強は厳しい、しかし有り難いことに楽しい
オッペンハイマーです
オッピー
ニムニム・ボーイズ
一九三六年、わたしの関心は変わり始めた
フランクは、それを切り抜いて申し込んだ
ますます確かに〔ほか〕

著者等紹介

バード,カイ[バード,カイ][Bird,Kai]
1952年生まれ。歴史研究家。スミソニアン・ウッドロー・ウィルソン国際センター研究員。ワシントンD.C.在住。『オッペンハイマー―「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』で、ピュリッツァー賞受賞

シャーウィン,マーティン[シャーウィン,マーティン][Sherwin,Martin J.]
1937年生まれ。タフツ大学(マサチューセッツ州)歴史学教授。広島・長崎への原爆投下に至る米国核政策をテーマにした『破滅への道程』(1975年)で、米歴史本賞受賞。ボストン郊外在住。『オッペンハイマー―「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』で、ピュリッツァー賞受賞

河邉俊彦[カワナベトシヒコ]
1933年静岡県生まれ。一橋大学社会学部卒。日本アイ・ビー・エム、三菱自動車工業株式会社勤務の後、『日経サイエンス』の記事をはじめ、経済・法律・芸術・文化など多方面の翻訳を手がける。神奈川県川崎市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kazuさん

26
オッペンハイマーは原爆の父と言われているが、1943年以前に、核物理学の研究にも多大な貢献をしていたことが分かる。ユダヤ人であり、原爆開発では、上手に政府に利用されたとも考えられる。ゲッチンゲン大学留学中の話しや、カリフォルニア大学バークレー校教授時代、ロスアラモス研究所の所長時代の個人的な生活に関する活写が興味深い。翻訳の関係もしくは、作者のまわりくどい言い回しの為、かなり読みにくい。現在は絶版で手に入りにくいため、図書館で借りて読んだ。2023/08/09

ゲンショウ

9
マンハッタン計画の責任者である事を知り拝読。時代に要請された人なのでしょうね…、複雑な人です。2009/11/26

乙郎さん

7
原爆開発に携わった物理学者の生涯。まず、誤解を恐れずに言うとオッペンハイマーという人物は非常に人間くさくて魅力的だ。気難しいし、気分やであるものの間違いなく才能があり、梁山泊的に世紀の科学者が周囲に集まる。その状況は確実に楽しい。科学技術が彼含め「軍事利用」されることで、彼は確かに社会的人間に近づくし、栄誉も得る。しかし、果たしてそれが、彼、ひいては科学にとって幸せだったのか。2024/03/17

KEI°

3
 彼は「原爆の父」として知られてますが、有名な知能研究プロジェクトの被験者集団で「ターマイツ」と呼ばれた高知能児達の1人でもあります。この本に「ターマイツ」の記述は出てきませんが、幼少期から神童ぶりを発揮していたことが、様々なエピソードで紹介されてます。また、数々の精神的危機を乗り越える過程で、哲学、宗教、芸術に深く触れたことが彼の複雑な人間性を形作ったのだと感じます。2010/10/05

2
物理学者としてあまりにも有名なロバート・オッペンハイマーは日本人たる我々にとって決して好ましい存在ではないだろう。愛する弟や良き友人に囲まれ、生徒から慕われる教授となり順風満帆に人生を過ごしていたであろうオッピー。だがあまりにも優秀であるがゆえに当時の政治、即ち戦争にその頭脳が利用されることとなる。量子物理学という分野が哲学的世界観に転換され、世界は一線を越えてしまった。ドイツより先に核兵器を作らなければならないという重圧があったにせよ、純粋な化学への探究心の結晶が悪魔の破壊兵器という形で生まれた悲劇。2024/02/15

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