内容説明
なぜ真意はうまく伝わらないのか?「言った・言わない」の不毛な口論はなぜ起きるのか?日常的な言葉のやりとりには、つねに誤解や不安、疑心暗鬼がつきまとう。わかりあうのは難しい。しかし、どんなに理屈や表現が正しくても意思疎通は成立しない。言語はたんなるロゴスではなく、共感には別の条件が必要だと著者は言う。言葉はコミュニケーションの道具とばかりに、スキルさえ磨けば論理的な話し上手になれると考える風潮に一石を投じる一冊。壁があってもなお、意をつくして語ろうとする姿勢の大切さを説く。
目次
第1章 言葉はなぜ通じるのか(言葉は不思議なもの;吉本隆明の言語本質論を読み解く ほか)
第2章 言語には七つの特性がある(言語は音声表出が基本;言葉は順序立てて説明しなければならない ほか)
第3章 意味とは何か、「わかる」とは何か(西欧の言語哲学の関心;言語的な意味とは何か ほか)
第4章 言葉の無理解はなぜ生じるのか(言葉はなぜ通じないのか;言語に対する信頼と言語信憑)
著者等紹介
小浜逸郎[コハマイツオ]
1947年横浜市生まれ。横浜国立大学工学部卒業。批評家。家族論、教育論、思想、哲学など幅広く批評活動を展開。国士舘大学客員教授も務める。また2001年より連続講座「人間学アカデミー」を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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テツ
20
どれだけ努力し心を込めたって他者に言葉は伝わらない。どうしたって言葉は届かない。そんな小さな絶望感を何度も乗り越えながら人は成長していくのだけれど、では何故言葉は伝わらないのか。これ(言葉)はきっと他者とのコミュニケーションと相互理解のために生まれてきたのに。結局は言葉が通じるには、ふんわりとした「空気」というか、両者が共有し互いに構築してきた世界が最低限必要なんだろうなという、あたりまえといえばあたりまえ過ぎることの気づき。言葉を尽くせばわかってくれる筈だなんていう幻想は捨てなければならない。2022/03/08
isao_key
5
言葉の伝わりにくさの原因について書かれている。本書は2005年秋に行われた連続思考講座「人間アカデミー」での講義を加筆・修正したものだが、決して読みやすい本ではない。言語についてかなり専門的な話も出てくる上、哲学の記述もある。筆者は言語の共同規範が成り立つためには、身体的・情緒的な態勢としての「意」が共同的に開かれるための「場」が存在しなくてはならないという。分かりやすくいえば、長く一緒に暮らしている夫婦の履歴の感覚の共有が当たるとのこと。万事がこの調子なのだが、もう少し分かりやすく説明できないのか。2013/07/03
tetuneco
1
タイトルとおり問いかけて答えなし2007/09/06
Naota_t
0
★3.2 小浜逸郎氏の本は数冊読んだことがあるが、本書もまた難解…。 普段、まさに題名のように思うことがあって、それが少しでも解消できればな、、と思って手に取ってみましたが。内容が想像以上にアカデミック過ぎてほとんど理解できませんでした。。。 かなり、かなり敷衍して言うと、話し手も聞き手も「気持ち」が大切、ということでしょうか。こんな文章が入試に出たら大変だろうな。苦笑 2016/10/22
国土面積
0
残念ながら、本書の言葉すら、通じえない部分があった。私の読解力不足も否めないが2009/01/22