出版社内容情報
夭折の詩人の新たなる素顔を照らし出す好著。
夭折の詩人中原中也の葉書と肖像写真を新たに発見! 年少の友・高森文夫に打ち明けた心の懊悩とは。生誕百年に際して知られざる素顔に迫る。
中原中也の葉書と肖像写真が発見された。宛先は宮崎県東臼杵郡東郷村、高森文夫。「君がゐなくなって僕は全く淋しいことだ」。中也がこの若き友に語った心の懊悩とは。没後半世紀以上を経て明かされた、詩人の知られざる素顔とは。中原中也が高森文夫に出会ったのは昭和六年雪降る宵であった。以後二人の友情の蜜月時代が始まり、中也はたびたび孤独の胸の内を友に語っている。一方で、宮本武蔵の「独行道」、本居宣長『直毘霊』を探求し、さらには芭蕉の生き様に思いを馳せていた。高森へ独自の取材を試みた著者が、求道者としての中也像を浮き彫りにしている。中也は宮本武蔵が剣一筋で生きたように、詩一筋に真剣勝負で短い生涯を生きたのだ。また、中也と小林秀雄との交友はよく知られているが、小林の記念碑的集大成『本居宣長』にも、若き日の詩人との交流が糸をひいていたように思われてならない、と著者は語る。生誕百年目に際し、新説を大胆に唱えた渾身の評伝。
●第一章 濫觴(らんしょう)! 中原中也 ――喪失、そして黙示の秘技
●第二章 新説! 中原中也 ――武藝人 宮本武蔵への道
●第三章 動乱! 中原中也 ――魂の危機を救ったものは……
●第四章 発見! 中原中也 ――青春のように悲しかった
●第五章 哀傷! 中原中也 ――芭蕉、蛙声の意味するもの
内容説明
中原中也の葉書と肖像写真が発見された。宛先は宮崎縣東臼杵郡東郷村、高森文夫。「君がゐなくなつて僕は全く淋しいことだ」。中也がこの若き友に語った心の懊悩とは。没後半世紀以上を経て明かされた詩人の知られざる素顔とは。孤独感を吐露する一方で、宮本武蔵の「独行道」、本居宣長『直毘霊』を探求し、さらには芭蕉の生き様に思いを馳せていた中也。高森文夫からの伝聞を通して、求道者としての詩人の姿を浮き彫りにする。人はいかに生き、いかに死んでゆくか。切実な叫び声が聞こえる熱涙の評伝。
目次
第1章 濫觴!中原中也―喪失、そして黙示の秘技(夢の伝承;最初の喪失 ほか)
第2章 新説!中原中也―武藝人宮本武蔵への道(若山牧水と中原中也;高森文夫と中也の出会い ほか)
第3章 動乱!中原中也―魂の危機を救ったものは…(友情の蜜月時代;昭和七年八月の九州旅行 ほか)
第4章 発見!中原中也―青春のように悲しかった(中也が訪れた山村東郷村;高森文夫の来歴 ほか)
第5章 哀傷!中原中也―芭蕉、蛙声の意味するもの(中也が語っていた芭蕉の生き様;「もののあわれ」を表現した「修羅街輓歌」 ほか)
著者等紹介
福島泰樹[フクシマヤスキ]
1943年、東京下谷に生まれる。早稲田大学文学部卒業。歌謡の復権を求めて「短歌絶叫コンサート」を創出、千数百ステージをこなす。86年「ブルガリア国際作家会議コンクール詩人賞」を受賞。99年、歌集『茫漠山日誌』(洋々社)で第4回若山牧水賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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