出版社内容情報
小さなガラス瓶、古いお守り袋……そんな小さな手がかりから、思い出探偵社の仕事は始まる。乱歩賞作家によるハートフル・ミステリー。
内容説明
思い出は心を豊かにもすれば、苦しめもする―小さなガラス瓶、古いお守り袋、折り鶴…、そうした小さな手がかりから、依頼人の思い出に寄り添うようにして、人や物を捜し出していく“思い出探偵”。京都御所を臨む地で「思い出探偵社」を始めた元刑事の実相浩二郎は、他のメンバーと共に思い出と格闘し、依頼人の人生の謎を解き明かす。乱歩賞作家が紡ぎ出す、せつなさと懐かしさが溢れるミステリー。
著者等紹介
鏑木蓮[カブラギレン]
1961年、京都市生まれ。塾講師、教材出版社・広告代理店勤務などを経て、1992年、コピーライターとして独立する。2004年、立教学院・立教大学が「江戸川乱歩と大衆の20世紀展」を記念して創設した第1回立教・池袋ふくろう文芸賞を、短編ミステリー「黒い鶴」で受賞する。2006年、『東京ダモイ』で第52回江戸川乱歩賞を受賞し、デビュー。12年より、佛教大学文学部非常勤講師を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カブ
53
依頼人の思い出に寄り添うようにして、人や物を探してくれる「思い出探偵」。人の思いは様々で、他の人にはなんとはないことでも、その人にとってはとても大切なことってありますよね。僅かな手がかりで、根気よく思い出の人を探し当てると本当によかったぁ~と思える。続編に期待。2019/02/07
はつばあば
48
あんたはん・・懐かしい言葉です。京都が舞台で鏑木さんなら読まずにおれません。長いようで短い人生に、良くも悪くも人それぞれの思い出だけが残る。良い思い出ならいつかお礼したいという気持ちもわかるし、嫌な思い出が再現されたら・・尚更恐い。終戦後(まだ幼い頃)夕方まで外で遊んでいると「人さらいが来るえ、はよ帰り」と叱られたものだが、今の子は見ず知らずの人のメールでも付いて行く。この子らが老いた時どんな思い出を残すのだろう。殺伐とした人探しの、思い出探偵とならぬよう願う。2015/06/21
momi
40
人の思い出を捜す探偵社!メンバーは京都府警元刑事「浩二郎」を筆頭に妻の「三千代」元看護師の「由美」時代劇の俳優志望「雄高」事件被害者の「佳菜子」それぞれ悩みを抱えながら依頼人の埋めたい過去を捜し求める!優しいお話…。ちょっとラストが呆気ない感じで終わったので物足りない。全体的にドラマ仕立ての印象を受けました。この「思い出探偵社」は京都を舞台に書かれています…。ついつい京都が舞台になっている作品に手を出してしまうのは、私にとって京都は思い入れのあるまちで、大切な思い出の場所だからです…。 2015/03/14
sat
35
思い出を探す探偵社って面白いなぁ〜。ラストは突然に訪れたが、どれも重く味わい深い依頼だった。2017/06/01
キムチ
35
鏑木さん真骨頂のハートフルが全開。全体的にテレビドラマの流れのよう。人・モノに連なる「思い出」の糸を探って行く探偵所。所長は体調を壊している妻を心身共に支え、2人の所員と共に解決に東奔西走。4篇の話はジグソーのようになっており、ラストで全てのコマが合って物語を作っている。時間が20・40・60年前のタイムトラベルする為、出来過ぎやろ・・と突っ込み入れたくなることしきり。他の作品よりはまぁ、分散せず、まぁまぁの伏線回収。但し、情景としてはS50頃の香りぷんぷん。あんたはん・・なんて今の京都で云ってるかいな?2015/03/08