出版社内容情報
源氏三代の死にまつわる幻想譚にして著者初の時代小説。清盛らの怨霊に苦しむ頼朝を描く「されこうべ」はじめ、確かな筆致の5篇を収録。
【著者紹介】
作家
内容説明
頼朝・頼家・実朝ら源将軍家の闇に光を当て、ベールに覆われた悲劇を鮮やかに描ききった幻想連作短編集。頼朝と清盛の相剋、謎に包まれた頼朝の死をめぐる因縁を描く「されこうべ」、『修禅寺物語』に想を得た「双樹」、実朝暗殺事件を実朝・公暁双方の生涯からドラマチックに迫る「黄蝶舞う」と「悲鬼の娘」、頼家と実朝の実姉・大姫の儚い生を描く「空蝉」の五編を収録。著者初の本格時代小説、待望の文庫化。
著者等紹介
浅倉卓弥[アサクラタクヤ]
1966年生まれ。東京大学文学部卒業。第1回「このミステリーがすごい!」大賞(金賞)受賞、2003年『四日間の奇蹟』(宝島社)にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジンベエ親分
30
鎌倉時代初期を描いた連作短編集。著者はこの他に源平の闘いを舞台にした「君の名残を」という名作があるが、昨年の大当たりした大河ドラマにあやかってもっと注目され読まれても良い作品だと思う。史実を巧みに織り交ぜながらも、物語の主題は怨念という超自然であり、むしろ解説で述べられているとおり、「怨念話」に巧みに史実を織り込むことによってリアリティを持たせる手法に思え、その筆致には圧倒された。それにしても本作の人物像と昨年の大河ドラマでのそれが比較的無理なく被るのは偶然なのか?大河ドラマの裏設定のようで興味深い。2023/09/10
鍵ちゃん
18
頼家、頼家、実朝ら源将軍家の闇に光を当て、ベールに覆われた悲劇を鮮やかに描ききった幻想連作短篇集。頼朝と清盛の相剋、謎に包まれた頼朝の死をめくる困縁を、描く「されこうべ亅、「修禅寺物語亅に想を得た「双樹亅、実朝暗殺事件を実朝、公暁双方の生活からドラマチックに迫る「黃蝶舞う亅と「非鬼の娘亅、頼家と実朝の実姉、大姫の儚い生を描く「空蝉亅の5篇を収録。戦国、江戸時代など話になることが多い中、鎌倉時代初期の話が私の中では貴重で新鮮でした。2020/10/13
鯖
17
幻想的な源氏三代滅亡の記録。京極夏彦の「狂骨の夢」を彷彿とさせるところもあり、戦国以降の武士たちが源氏の末裔を自称したがるのは荒ぶる源氏が滅んでて神格化するのに都合がよかったのかもなあと思ったり。大姫もちまちまと身内に祟ってないで、母上の御実家にガツンと祟りにいってもいいんですよ…。2015/04/18
紅(mokomoon)
15
図書館☆ 史実と独自の解釈を連ねた短編集なんかな? 読み込めなかったからかなさっぱり意図が解らなかったです(>_<) 2013/12/23
みなみ
11
伝奇要素の強い、鎌倉時代初期を舞台にした歴史の物語。冒頭の「空蝉」はいわば序章であり、「されこうべ」がトップバッターである。全部読んでみて一番インパクトがあって面白かったのがこれ。頼朝の悪く言えば(ちょっと)卑怯で小心者な人格があますところなく描かれ、まさに因果が巡るような結末を示す。表題作は、全てがこうつながるのか!というプロットの良さが印象に残った。2025/01/12