内容説明
女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ男・千利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、天下一の茶頭へと昇り詰めていく。しかしその鋭さゆえに秀吉に疎まれ、切腹を命ぜられる。利休の研ぎ澄まされた感性、艶やかで気迫に満ちた人生を生み出した恋とは、どのようなものだったのか。思いがけない手法で利休伝説のベールが剥がされていく長編歴史小説。第140回直木賞受賞作。
著者等紹介
山本兼一[ヤマモトケンイチ]
1956年(昭和31年)、京都市生まれ。同志社大学卒業後、出版社勤務、フリーランスのライターを経て作家になる。2002年、『戦国秘録 白鷹伝』(祥伝社)でデビュー。2004年、『火天の城』(文藝春秋)で第11回松本清張賞を受賞。2009年、『利休にたずねよ』(PHP研究所)で第140回直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
308
秀吉に切腹を命じられた利休のその心のあり様を若きころの恋と緑釉の香合を肌身離さず持つという描写により艶っぽく描いている。本書は第140回直木賞受賞作だが、文体がうまい。2010/11/27
Atsushi
256
茶聖利休の若き日から切腹に至るまでが時を遡り複数の目で描かれる。木槿の花にあの人を思い出す。残された緑釉の香合とあの人の爪。叶わぬ恋が切ない。命よりも自らの美学を選んだ人生観は圧巻だった。感動の一冊。第140回直木賞受賞作。2017/09/09
射手座の天使あきちゃん
211
利休はなぜ切腹に至ったのか? 天正19年2月28日、千利休切腹の日から時を遡りながら、彼を取り巻く人達との関係の中から、原因を浮き彫りにしていきます。 人並み優れた人間力と審美眼を持った秀吉と利休、その才能に惹かれあい、やがて嫉妬と憎悪に・・・ 利休の貪欲なまでの美の追求のトラウマとなった事とは・・・ この作品は、人物描写(心理描写)が秀逸でしたね、満足の一冊です!。2010/11/15
ちびbookworm
210
★4-4.5.直木賞選考委員として宮部みゆきさんが推した本作◆謎多い茶人、利休の生涯を描いた力作。小説の「仕掛け」が面白い。意表をつく◆物語の1話目は、利休の最大の謎、切腹の場面から始まる。あれ?どうしてなのか?となる。切腹の理由。利休の追求した茶とは?美の美とは?◆ここから、時計の針が逆巻く。各話、主人公が変わる。真の利休、核心へむかう。マトリョーシカ人形のように、とれば、中から核心が次々と現れるような、そんな入れ子構造である◆また本書は、茶室にいるかのような、「侘び茶」の美と静寂を感じられる一冊だ。2022/02/26
hit4papa
205
美の求道者 千利休の生涯を描いた作品です。本作品は、千利休の切腹前夜 70歳から、魚屋の道楽息子だった19歳の頃へ、時を遡るかたちで物語が展開します。冒頭の、利休が殺した女という独白、そして人の目に触れることすら忌避する緑釉の香合の謎が、ラストまで読者を引っ張っていくことになります。各章では、千利休と彼の周辺の人物が語り手となって、千利休という美の巨人が活写されていきます。秀吉が羨望し、嫉妬し、ついには潰えさせようと決意した超絶、唯一無二の美的感覚。五感に訴えるがごとくの著者の描写力には脱帽です。2019/10/05
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