出版社内容情報
漢詩の世界に日本人の心の原風景を訪ねる旅。
白楽天、蘇東坡、杜甫など、古の詩人たちが愛した江南各地を旅し、日本人の心の原風景に想いを馳せる紀行随想。漢詩ファン垂涎の一冊。
中高年層を中心に、静かな漢詩ブームが続いている。李白・杜甫・白楽天・陶淵明らの詩を愛誦するばかりでなく、実際にゆかりの地を訪ねる人も跡を絶たない。古来より日本人が強い憧れを抱き、想像をたくましくして詩歌や俳句にうたい上げてきた中国の詩文の世界を、現実に体験できる時代になったのだ。
▼ことに、うららかな春の江南地方(長江下流の南側)は、いにしえの文人たちの詩境に想いを馳せる上で最高の舞台となる。本書では、日中双方の古典文学に深い造詣を持つ著者が、揚州・蘇州・杭州・紹興……と旅をしながら、それぞれの詩文の情趣豊かな作品世界を見事に読み解いている。さらに著者の思索は、芭蕉や蕪村の作品を引きながら、日本人の意識の深層にある中国文化までを鮮やかに照らし出すのだ。
▼たんなる漢詩の解説書や旅行ガイドでは物足らない人たちにとって、知的好奇心を刺激するまたとない「詩と旅のガイド」である。『中国幻想行』を改題。
●月光と花影と
●杜牧が残夢
●百花盛開の春
●欧陽修の庭
●ささやかな桃源郷
●楓橋の暮色
●白楽天と蘇東坡の堤
●十景遊覧
●江南の優しい春景
●夕陽、吾が西に在り ほか
内容説明
古来より日本人が強い憧れを抱いてきた中国の詩文の世界。ことに麗らかな春の江南地方は、古の文人の詩境に想いを馳せる上で最高の舞台だ。揚州・蘇州・杭州・紹興…と旅をしながら、著者の思索は、李白や杜甫、白楽天らの境地を探求するのみではない。芭蕉や蕪村の作品を引きながら、日本人の意識の深層にある中国文化を見事に照らし出す。知的好奇心を刺激する好著。
目次
月光と花影と(旅のはじめに)
杜牧が残夢(揚州・長江)
百花盛開の春(揚州・裏町逍遙)
欧陽修の庭(揚州・平山堂と五亭橋)
ささやかな桃源郷(蘇州・滄浪亭)
楓橋の暮色(蘇州・寒山寺)
白楽天と蘇東坡の堤(杭州・西湖1)
十景遊覧(杭州・西湖2)
江南の優しい春景(杭州・呉山)
夕陽、吾が西に在り(紹興・菜の花の道)
曲水流觴の宴(紹興・蘭亭)
竹林の七賢(紹興・会稽の山河)
魯迅の痩せた顔(紹興・百草園)
花開く六朝(紹興から杭州への帰路)
さまよえる杜甫(岳陽・洞庭湖)
水天一色、風月無辺(岳陽・岳陽楼)
園田の居に帰る(盧山・柴桑)
金色の山水(盧山・東林寺)
月骨髄に入る(旅のおわりに)
著者等紹介
森本哲郎[モリモトテツロウ]
1925年、東京生まれ。東京大学文学部哲学科卒、同大学院社会学科修了。朝日新聞東京本社入社、学芸部次長、朝日新聞編集委員を経て、1976年退社。以後、評論、著述に専念。1988年~1992年、東京女子大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。