出版社内容情報
劉邦の命を六度も救った「知謀の士」の生涯。
項羽とその軍師范増を離間させるなど、奇策を用いて劉邦の命を六度も救った軍師陳平。その見事な知謀を余す所なく活写した評伝小説。
内容説明
項羽との覇権争いに勝利した劉邦の下には、名軍師張良と並び称されるもう一人の知謀の士があった―その名は陳平。初め項羽に仕えた彼は、ふとしたことで怒りを買い、劉邦の下へ奔る。そして、項羽とその軍師范増を離間させるなど、奇策を用いて劉邦の命を六度救う活躍をみせ、劉邦亡き後は、右丞相に昇って国家の重鎮となった。その見事な「知謀」を活写した評伝小説。
著者等紹介
風野真知雄[カゼノマチオ]
昭和26年、福島県須賀川市に生まれる。立教大学法学部卒業。平成5年、『黒牛と妖怪』で第17回歴史文学賞受賞。平成14年、東北出身の気鋭の作家に与えられる第1回北東文芸賞を受賞
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感想・レビュー
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糜竺(びじく)
41
歴史文学賞などを受賞しておられる風野真知雄氏だけあって、サクサク読みやすかったです。中国の前漢帝国の祖である劉邦の参謀でもあり、また、劉邦亡き後も重鎮として帝国を支えた陳平の生涯を描いた歴史小説です。劉邦のライバルである猛将項羽との戦いは、非常に見ものでした。そして何より劉邦亡き後、劉邦の妻であった呂后が国を牛耳り始めて、残虐な事を宮廷内で起こし、呂后の一族で国が乗っ取られそうになります。その、漢帝国が危機にある所を、陳平の知恵の活躍で滅亡の憂き目を何とか乗り越えた所はとても読みがいがありました。2016/06/22
BIN
6
参謀の代表格として張良と並び称される陳平の生涯を描いた作品。史記に書かれているエピソードを肉付けした感じで、かなりスピーディに描かれていて読みやすい。項羽と劉邦の味方の陣営側のことしか基本書かれてないので、ある程度項羽と劉邦を知ってる必要がある(というか知ってる人じゃないと読まないか)。城攻めのときに緩衝材ひいて死者や恐怖心を減らしましょうの策を進言しただけで、その効果とか結果を書いて欲しかった。副題が6度救ったとあるけど、カウントしてないのでどっかでまとめておいて欲しかったなあ。2018/02/23
maito/まいと
3
戦略家張良と双璧を張る、劉邦後期の参謀・陳平を描いた歴史小説。謀略好きというやや暗いイメージの強い陳平ですが、そこまで濃い陰性を感じさせない展開でしたねえ。むしろ丞相を目指す野心家という熱さが押し出されていて、さながら青春活劇?な流れも・・・多くの家臣が引退したり忙殺されたり、と粛清の嵐吹き荒れる武帝政権ですが、意外にも陳平は政権内に残っていたんですねえ。晩年まで政権内で奮戦していたという知られざるエピソードも描かれている、貴重な1冊かも。2011/08/10
ねくらびっと。
1
劉邦を助け漢王朝成立を支えた智将・陳平を主役とした小説。物語りは一農民として生活していた青年時代から没するまでが書かれ、劉邦が死去した後の呂一族の専横・討伐についてはとても興味深く読めました。内容としては陳平の策謀や宰を奮っている様子も書かれてはいるが、どちらかと言えば陳平の視点から見た秦漢革命を描いた小説のように思えました。また、著者による史書と史実の整合性についてなども書かれていて、視点を変えて楽しむことが出来ました。2013/06/22
ホームズ
1
劉邦の軍師の中でも名前が(笑)気になってしまった(笑)劉邦の軍師としては張良のほうが有名ですが『項羽と劉邦』では陳平のほうが名前が出ていたような。2006/01/16