出版社内容情報
蘇我入鹿など“悪党”の言い分から読む日本史。
蘇我入鹿、明智光秀、吉良上野介など日本史の中で“悪役”と見なされてきた人物たち。その言い分をもとに歴史上の評価を再検討した好著。
本能寺の変で信長を討った“逆臣”明智光秀、安政の大獄を断行した“冷酷な大老”井伊直弼……。日本史において“悪役”とされる者たちは、ワルの部分がことさら強調されて伝えられている。その理由を著者は、「権力者の都合によって歴史の見方が決定されるからだ」と言う。例えば、蘇我入鹿を“ワル”にしたてあげたのは、彼を殺して「大化の改新」を断行した中臣鎌足らの一派であり、また、大阪の陣に敗れた淀殿は徳川の世になってから“悪女”とされた。徳川幕府の大老として日本開国の大仕事をなした井伊直弼も、明治新政府からはただの専制政治家としか見なされなかった。
▼本書は、権力者によってつくられた通説を別の視点から読みなおした型破りの歴史書。北条政子、斎藤道三、吉良上野介、田沼意次、芹沢鴨など、日本史の“悪役たち”の心中に秘められた“言い分”の実相に迫り、一般に流布されている通史に一石を投じる。
▼『言い分の日本史』を改題。
[1]古代~中世
●蘇我入鹿
●弓削道鏡
●北条政子
●高師直
●日野富子
[2]戦国
●斎藤道三
●松永久秀
●明智光秀
●小早川秀秋
●淀殿
[3]近世
●由比正雪
●吉良上野介
●田沼意次
●芹沢鴨
●井伊直弼
内容説明
安政の大獄を断行した“冷酷な大老”井伊直弼、本能寺の変で信長を討った“逆臣”明智光秀…。日本史において“悪役”とされる者たちはワルの部分がことさら強調されて伝えられている。本書は歴史的事実をふまえ、日本史における悪役たちの心中に秘められた“言い分”を代弁したユニークな歴史読み物。権力者によってつくられる史実や通説に、逆の視点から一石を投じる。『言い分の日本史』を改題。
目次
1 古代~中世(古代史における最大のワル 蘇我入鹿―「大化改新」で非業の死をとげた超エリート;女帝をたらしこんで帝位をねらった生臭坊主 弓削道鏡―幻の“仏教王国”を夢みた高僧の挫折;子を捨てて権力をえらんだ非情の尼将軍 北条政子―“情”より“理”で鎌倉幕府をまもる;傲慢不遜な好色の権化 高師直―足利尊氏をささえんとして汚名を着た忠臣;わが子かわいさで「応仁の乱」を起こした愚母 日野富子―時代のさきを読んで蓄財に励んだ女傑)
2 戦国(美濃一国を奪い盗った元油売り 斎藤道三―古き秩序を打ち壊すことこそわが“正義”;他人のやらぬ悪業を三つもなした奸物 松永久秀―一流の風流人として戦乱の世を生きぬく;「本能寺の変」で主君・信長を討った逆臣 明智光秀―謀反の理由はおのが身をまもらんがため;「関ヶ原合戦」で寝がえった“日本一の裏切り者” 小早川秀秋―戦に裏切りはつきものである;豊臣家を滅亡へみちびいた強情女 淀殿)
3 近世(幕府転覆をはかったクーデター首謀者 由比正雪―黒幕におどらされた窮乏浪人たちの“星”;「忠臣蔵」で赤穂義士に討ちとられた憎きかたき 吉良上野介―松の廊下の刃傷沙汰はイジメによるものにあらず;悪名高き賄賂の宰相 田沼意次―財政刷新で“憎まれ役”を買ってでる;傍若無人とそしられた新選組の厄介者 芹沢鴨―勤王佐幕の波に翻弄されたお人好しの熱血漢;「安政の大獄」を断行した冷酷な大老 井伊直弼―われ日本開国の“人柱”)に立たん
著者等紹介
岳真也[ガクシンヤ]
1947年、東京生まれ。慶応義塾大学経済学部卒、同大学院社会学研究科修了。66年、学生作家としてデビュー。現在、西武文理大学客員教授。法政大学、早稲田速記医療福祉専門学校講師
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