出版社内容情報
大衆の心を動かした挿絵画家たちを回想する。
テレビがなかった時代、大衆は何に心動かされたか。木村荘八、中川一政、棟方志功など、昭和30年前後に活躍した挿絵画家たちを回想する。
大正末から昭和三十年代にかけて、新聞、雑誌の連載小説は大衆娯楽の花形であった。戦前の『怪人二十面相』(江戸川乱歩)や『宮本武蔵』(吉川英治)、『?東綺譚』(永井荷風)、戦後は『徳川家康』(山岡荘八)、『鍵』(谷崎潤一郎)、『青春の門』(五木寛之)など。それらの物語は、芸術性の高い「さし絵」によって強く印象づけられた。描いたのは、小林秀恒、石井鶴三、中川一政、木村荘八、木下二介、棟方志功、風間完、中一弥……。本書では、昭和に活躍したさし絵画家たちの懐かしい名作と逸話(エピソード)を紹介する。著者は、昭和三十年代、季刊誌「さしゑ」の編集人として活躍。テレビもパソコンもなかった時代、活字メディア全盛とともに「さし絵」も黄金時代を迎えていた、と回想する。しかし、昭和三十九年の東京オリンピックを境に、テレビが大衆娯楽の中心になってゆく。戦後の貧しかった時代から、昭和三十年代に少年・青年期を送った読者には、郷愁をさそう一冊である。
●序章 さし絵の黄金時代
●第一章 ぼくらは少年探偵団
●第二章 名物編集者
●第三章 現役最長老のさし絵画家
●第四章 挿美会のこと
●第五章 再び黄金時代がやって来た
●第六章 季刊誌「さしゑ」
●第七章 プラトン社の「苦楽」
●第八章 「寄らば斬るぞ!」
●第九章 『一人三人全集』
●第十章 浅草紅団(くれないだん)
●第十一章 昭和の幕開け
●第十二章 「新青年」と江戸川乱歩
●第十三章 ミステリーのさし絵画家たち
●第十四章 『人生劇場』と中川一政
●第十五章 小村雪岱(せったい)
●第十六章 『大菩薩峠』『宮本武蔵』と石井鶴三
●第十七章 『霧笛』『?東綺譚』と木村荘八
●第十八章 戦後の百花繚乱
●第十九章 洋画家たちの活躍
●第二十章 転換期の時代小説
●第二十一章 小説さし絵の第一人者
●第二十二章 忘れられない画家たち
●終章 郷愁の昭和三十年
内容説明
大正末から昭和三十年代にかけて、新聞、雑誌の連載小説は大衆娯楽の花形であった。戦前の『怪人二十面相』(江戸川乱歩)や『宮本武蔵』(吉川英治)、戦後は『徳川家康』(山岡荘八)や『鍵』(谷崎潤一郎)など。それらの物語は、芸術性の高い「さし絵」によって強く印象づけられた。描いたのは、小林秀恒、石井鶴三、中川一政、木村荘八、木下二介、棟方志功、中一弥…。本書では、昭和に活躍したさし絵画家たちの懐かしい名作と逸話を紹介。テレビもパソコンもなかった時代、人々は何に心おどったのか。郷愁をさそう一冊。
目次
さし絵の黄金時代
ぼくらは少年探偵団
名物編集者
現役最長老のさし絵画家
挿美会のこと
再び黄金時代がやって来た
季刊紙「さしゑ」
プラトン社の「苦楽」
「寄らば切るぞ!」
『一人三人全集』
浅草紅団
昭和の幕開け
「新青年」と江戸川乱歩
ミステリーのさし絵画家たち
『人生劇場』と中川一政
小村雪岱
『大菩薩峠』『宮本武蔵』と石井鶴三
『霧笛』『〓(ぼく)東奇譚』と木村荘八
戦後の百花繚乱
洋画家たちの活躍
転換期の時代小説
小説さし絵の第一人者
忘れられない画家たち
郷愁の昭和三十年
著者等紹介
中村嘉人[ナカムラヨシヒト]
1929年、函館生まれ。大阪大学経済学部卒業。教師、雑誌編集者、会社経営者を経て文筆業に入る。道銀文化財団副理事長、堀江オルゴール博物館理事、札幌市民芸術祭実行委員会委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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