出版社内容情報
日本列島北は釧路から南は沖縄まで、近代日本文学作品に著された土地を訪ね歩き、写真と文章で作家と日本人のこころの原風景を描く。
かつて、その青春時代に石川啄木と宮沢賢治から多くの影響を受けた写真家が、日本列島を北は釧路、南は那覇まで、近・現代の日本文学界をいろどった作家たちの原風景を辿るとき、命あるものとの出会いと別れのくり返しの中で新しい自分を再発見し、再認識していく姿が浮き彫りになる。「風の中をゆく」をテーマに各章ごとにカラーグラビアのページを組み、写真にその土地と文学に係わるキャプション、さらに撮影時のデータを添えられ、読者が作家達の足跡を辿るとき、カメラで一層の楽しみを見出していただきたいという作者の思いが伝わる。
[第1章]北へ――木枯をゆく
●釧路
●札幌
●津軽
●三沢
●岩手
●三陸海岸
●仙台 ほか
[第2章]東へ――野分をゆく
●裏磐梯
●郡山
●前橋
●神楽坂
●落合
●修善寺
●天城湯ヶ島 ほか
[第3章]西へ――夕東風をゆく
●新潟
●軽井沢
●小諸
●信濃町柏原
●木曽路
●金沢
●奈良
●熊野 ほか
[第4章]南へ――白南風をゆく
●小豆島
●高松
●松山
●尾道
●広島
●津和野
●柳川
●阿蘇山 ほか
内容説明
近、現代日本の文豪たちのこころの原風景はレンズを通してみるとある時は木枯の中に佇みまたある時は野分に遭遇しながらも悩み、語らい、創作意欲のとどまることはなかった…写真家の視点でとらえた温故知新の文学紀行。
目次
第1章 北へ―木枯をゆく(釧路・さいはての町の恋心―石川啄木;札幌・詩人の住むべき北都―有島武郎/石川/啄木 ほか)
第2章 東へ―野分をゆく(裏磐梯・モノトーンの静寂―高村光太郎;郡山・安積野の秋の陽―宮本百合子 ほか)
第3章 西へ―夕東風をゆく(新潟・親切すぎる雪―坂口安吾/会津八一;軽井沢・高原の鯉のあめ煮―堀辰雄/室生犀星/立原道造 ほか)
第4章 南へ―白南風をゆく(小豆島―浜風と醤油の匂い―壷井栄/壷井繁治/黒島伝治;高松―百舌坂の百舌博士―菊池寛 ほか)
著者等紹介
小松健一[コマツケンイチ]
1953年、岡山県に生まれ、群馬県に育つ。現代写真研究所研究科卒業。新聞記者などを経てフリーのフォトジャーナリストに。世界の厳しい風土の中で自然と共生する民族をライフワークに地球を巡礼している。また、日本の近現代の文学作家の原風景を切り口にした日本人の暮らしと風土、沖縄や食と環境問題など社会的なテーマを追い続ける。第2回藤本四八写真文化賞を『雲上の神々―ムスタン・ドルパ』(冬青社)で受賞。第23回視点賞を『琉球―OKINAWA』で受賞、1983年度新日本歌人協会賞を歌集『春ひそむ冬』(不羈書林)で受賞など。現在、(社)日本写真家協会会員、(協)日本写真家ユニオン理事、全日本写真連盟関東本部委員、現代写真研究所講師、日本・ネパール写真交流協会(JNPES)会長、俳句誌「一滴」同人など。俳号は風写
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