出版社内容情報
日韓の激動の歴史をたどる珠玉の紀行文。
海峡を越え、韓国と深く関わったさまざまな日本人たち。その数奇な人生と感動的なドラマを韓国全土に追った珠玉の紀行文。
3月初旬の韓国はまだまだ底冷えが厳しい。日韓友好などというだいそれたものではなく、日本と韓国(朝鮮)の国境や心の境を越えた日本人の足跡をたどる旅は、そんな季節、ソウルを皮切りに韓国全土に及んだ。
▼ソウルでは曽田嘉伊智翁が生涯をかけて孤児たちの世話をした永楽保隣院をはじめ、植民地朝鮮と日本人との関わりを追った。
▼木浦共生園で孤児たちの世話をした田内千鶴子は韓国人に「木浦の母」と呼ばれ慕われた。
▼秀吉の朝鮮侵略に出兵したものの、秀吉に愛想を尽かし、朝鮮側に投降帰化した沙也可という日本人武将の子孫を訪ねたのは友鹿洞という美しい山里。
▼そして、大逆事件で死刑を求刑され、のち無期懲役となるも獄中で縊死した金子文子の墓は、枯木の山懐に静かに抱かれていた。
▼「心をとどめたところこそほんとうの故郷である」――日本と韓国(朝鮮)の壁を乗り越え真実に生きた人びとの生涯を追った珠玉の紀行文である。
●1973年夏 釜山
●2002年冬 ソウル
●永楽保隣院にて
●東山農場
●木浦まで
●青鶴洞の人びと
●晋州
●慶州ナザレ園
●サヤカの里
●聞慶
●芙江へ
●広州
●再びソウル
目次
一九七三年夏・釜山
二〇〇二年冬・ソウル―
永楽保隣院にて
東山農場
木浦まで
青鶴洞の人びと
晋州
慶州ナザレ園
サヤカの里
聞慶
芙江へ
広州―ナヌムの家
再びソウル―
著者等紹介
森まゆみ[モリマユミ]
東京都文京区動坂に生れる。早稲田大学政治経済学部卒、東京大学新聞研究所修了。1984年に創刊した「谷中・根津・千駄木」(愛称「谷根千」)は今なお多くの読者を持つ息の長い地域雑誌。資料の読み込みと足を使った取材で江戸・東京の地誌研究に新たな境地を開いた。幅広い執筆活動と同時に、地域を基盤にした環境保全に対して積極的に発言・行動している
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