出版社内容情報
人生を愉しむもよし、渋味を味わうもまたよし。
著者のこれまでの歩みから折々の感興まで、心にしみる随筆が人生の妙味を描き切る。生きてゆくための智恵が満ち溢れる珠玉の一冊。
消えてしまった風景、父母への想い、特攻隊員として死を覚悟していた日々……。さらに現在の日々のふれあいの中で出会った人々、町、映画……。そして、それらの中から浮かび上がってくる生きていくための智恵。
▼「昔の隅田川はとてもきれいでね、岸からちょっとのぞくと、水の中に生えた蘆の根っこの所をワタリガニがノソノソ歩いていたものだ。水底から砂がパッ、パッと上がる。カレイが横たわったまま呼吸をしているんだな。……おれがそば屋でライスカレーを食うに拘るのは、昔の良かった隅田川の光景が、ありありと頭の中に浮かんでくるのさ。そしてもっと大事なのはな、妙な話だが、こうやっているとな、その頃の隅田川の風景がまだどこかに残っているような気がするのさ……」。時代がどんなに変わっても、きっとどこかでつながっている。わかりあえるさ、日本人だから、な。
▼人生の愉しみや人生の渋味が、心にあふれだしてくる、珠玉の随筆集である。
●ちょっとつらかった昔
●生きる工夫・チエと努力
●酒・食・旅
内容説明
時代がどんなに変わっても、きっとどこかでつながっている。心にしみる随筆集。
目次
ちょっとつらかった昔(夢幻の宿;親代わりだった映画;瞼の中の映像美 ほか)
生きる工夫・チエと努力(歴史に同じ年齢の人物を探す;出さない手紙を書きつづける;“壁”に挑む ほか)
酒・食・旅(そば屋のライスカレー;行ってみたい場所、ブリガドーン;心ゆたかになるとき ほか)
著者等紹介
童門冬二[ドウモンフユジ]
本名、太田久行。昭和2年、東京生まれ。東京都立大学事務長、東京都広報室課長、広報室長、企画調整局長、政策室長を歴任。昭和54年、美濃部都知事の引退とともに都庁を去り、作家生活に専念。在職中に培った人間管理と組織の実学を、歴史と重ね合わせ、小説、ノンフィクションの世界に新境地を拓く。「暗い川が手を叩く」で第43回芥川賞候補。日本文芸家協会ならびに日本推理作家協会会員。平成11年に勲三等瑞宝章を受章
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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