出版社内容情報
山一証券破綻から5年、内部から克明に記録。
32年間を山一で過ごし、経営の一端を担った元常務が「100年の歴史と伝統」を誇る同社の企業体質を分析し、失敗の本質に迫る。
一時代を築いた巨大企業がなぜ凋落するのか。長銀や北海道拓殖銀行、最近のエンロンやワールドコムの事例も思い出される。本書は、32年間を山一証券で過ごし、経営の一端を担った著者が、山一の歴史から経営者の資質まで幅広く検討を加えた研究レポートである。破綻当時の担当者らに実際に取材し、事実を積み重ねて書き上げた力作である。破綻の原因は、企業倫理の欠如だが、その根底には成功体験への盲信があったという。
▼巨大企業の崩壊に共通するのは、「大成功をおさめたあと、大失敗(経営判断の誤り)をしていて、事業の大成功が最高経営責任者にもたらした、ある種の傲慢さと驕りではないか」と推察されるという。本書の冒頭にふれているように、「失敗から教訓をくみ取らなければ、より大きな失敗を将来に招くことになる」。山一消滅から5年。歴史上の事実を正しく検証することで、多くの教訓を学べるのではないか。
●第1章 山一証券経営略史
●第2章 4大証券会社の経営比較(1)
●第3章 4大証券会社の経営比較(2)
●第4章 バブルと株式市場
●第5章 山一証券の簿外債務
●第6章 証券会社の経営システム
●第7章 証券不祥事と企業倫理
●第8章 証券会社のコーポレート・ガバナンス
●第9章 山一証券と企業文化
●終章 山一証券破綻の根源にあるもの
内容説明
なぜ、巨大企業は破綻したのか。1997年の自主廃業から5年、失敗の原因を探求し続けてきた著者が、いまその真実を明らかにする。
目次
山一証券経営略史
4大証券会社の経営比較―山一証券の経営を中心として
バブルと株式市場
山一証券の簿外債務―山一破綻の直接的原因
証券会社の経営システム―山一証券の破綻をめぐって
証券不祥事と企業倫理
証券会社のコーポレート・ガバナンス
山一証券と企業文化
山一証券破綻の根源にあるもの
著者等紹介
河原久[カワハラヒサシ]
1930年、兵庫県生まれ。53年、神戸市外国語大学(英米学科)卒業後、山一証券株式会社入社。75年、山一インターナショナル・アメリカ株式会社取締役社長。78年、山一証券株式会社取締役。80年、山一インターナショナル・アメリカ株式会社取締役会長。82年、山一証券株式会社常務取締役(国際本部長兼任)。84年、山一ユニベン株式会社専務取締役。86年、UBSフィリップス・アンド・ドリュー証券会社(現:USB・ウォーバーグ証券会社)取締役最高顧問。90年、ウォーバーグ投信株式会社(現:メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズ株式会社)取締役会長兼社長。95年、同上退任後、2002年3月に明治大学大学院商学研究科博士後期課程修了(商学博士)。現在、山一ハンズオンアソシエイツ株式会社会長を務める
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