出版社内容情報
日本の金融業は過去に中国で痛い目にあっているが、その教訓は生かされているか。元大手銀行マンである著者が実体験を基に描く経済小説。
WTO(国際貿易機関)加盟を機に、“巨大市場”の可能性や格安の人件費が日本の対中ビジネスブームに火をつけている。
▼だが、中国ビジネスが多大なリスクを伴うことは、つとに指摘される。日本興業銀行において中国ビジネスに長年携わってきた著者は、金融業界をはじめ、多くの日本企業の中国における過去の失敗が教訓として生かされているのか、大いに疑問を抱いている。
▼一方で著者は、本書の「あとがき」のなかで「皆さんに誤解していただきたくないのは、私が中国という『国家』に厳しい目を向けているからといって、中国人を忌避しているわけではないということであり、事実はむしろ逆である」と語る。著者が警鐘を鳴らしている対象は、対中ビジネスや「中国」そのもではなく、“戦略なき日本の対中投資ブーム”ではないか。
▼架空の組織、人物を登場させながらも、実体験を基に、日本の対中ビジネスの落とし穴、中国の実態をリアルに描く問題提起の経済小説。
[1]ミッション
[2]中国ビジネス
[3]フィクサー
[4]儀礼
[5]シンジゲート・ローン
[6]プロポーザル
[7]歓待
[8]マンデート
[9]調印式
[10]失望
[11]破産
[12]スタディー
[13]トリック
[14]戦略
[15]中央政府
[16]交渉
[17]逆風
[18]外交
[19]スワップ
[20]ハッカー
[21]最終提案
[22]幽閉
内容説明
「劉律師、今日は中国の訴訟手続きについてご説明いただき、たいへん参考になりました」「でも那珂さん、本当の裁判になったら規則どおりにはいきませんよ。各地方の裁判官の裁量でずいぶん変わりますから」「あなたは弁護士として裁判官が法律にそぐわない処理をするときには、当然反対するわけでしょう」「状況によりますね」「状況?」「力関係ですよ。中国では何事も政治力で決定されるのです。理屈に合わないと思うかもしれませんが、これが現実です」戦略なき中国投資ブームの果てに。“巨大市場”に長年携わった元興銀マンが描く迫真の経済小説。
著者等紹介
藍正人[アイマサト]
1960年、神奈川県生まれ。一橋大学経済学部卒業後、日本興業銀行入行。香港中文大学留学を経て、本店にて貿易金融、デリバティブ取引に従事。1991年から香港支店にて中国進出サポート、世銀協調融資など各種シンジケート・ローンのアレンジ、ロンドン・シカゴなど欧米における中国投資セミナーの講師、多国籍企業営業、プロジェクト・ファイナンスに携わり、営業企画課長兼リスク管理課長として香港の中国復帰を体験。1998年、本店にて中国直接投資アドバイザー、東アジア担当審査責任者を歴任し、バンコック支店次長を最後に、2001年8月、日本興業銀行を退社。現在、中国問題ストラテジストおよび中国アジア直接投資・CDM(クリーン開発メカニズム)アドバイザー
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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