出版社内容情報
人間通の百花繚乱を描き分けてゆく司馬文学。そのエッセンスを読み抜く好評シリーズ第五巻完結編。『花神』『翔ぶが如く』などを含む。
いまなお多くの読者の心をとらえてはなさない司馬遼太郎。彼が現代日本人に遺したものは何か。それは、魅力あふれる歴史上の人物に焦点を当て、「人の世に生きる智恵」を生き生きと描き出したことだろう。
▼司馬文学を敬愛し、「司馬遼太郎の精神の鼓動を、そのまま過不足なく読者に伝えること」を自らの役目と任ずる著者が、司馬作品の叙述の勘所を抜き出し、司馬遼太郎の精髄を総結集したのが『司馬遼太郎の贈りもの』である。本書は、その第五弾・完結編にあたる。
▼著者は説く。「司馬遼太郎は、物語作家としての辣腕をふるいながらも、読者が波乱と葛藤にのみ興じるのを期待しているのではない。もちろん人間模様と時代の変動を通じてではあるが、そのなかから読者がより人間通になる契機を、しっかりとつかんで欲しい」と。
▼『花神』『覇王の家』『播磨灘物語』『空海の家』『翔ぶが如く』『胡蝶の夢』『項羽と劉邦』『菜の花の沖』『箱根の坂』を収録。
●花神
●覇王の家
●播磨灘物語
●空海の家
●翔ぶが如く
●胡蝶の夢
●項羽と劉邦
●菜の花の沖
●箱根の坂
内容説明
透徹した人間学。人間通の百花繚乱を自然なかたちで描きわけてゆく司馬文学。そのエッセンスを読み抜く好評シリーズ完結編。
目次
『花神』
『覇王の家』
『播磨灘物語』
『空海の風景』
『翔ぶが如く』
『胡蝶の夢』
『項羽と劉邦』
『菜の花の沖』
『箱根の坂』
終章 人間通の文学―連載終了にあたって
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
89
谷沢先生の司馬遼太郎作品の評論集の5巻目です。ここでは「花神」「覇王の家」「播磨灘物語」「空海の風景」「翔ぶが如く」「胡蝶の夢」「項羽と劉邦」「菜の花の沖」「箱根の坂」の後期の9作品についてかなり詳細に論じられています。私もこの作品はすべて読んでいるのですが、やはり「空海の風景」が好みで、先生が書かれているように「思想は他の考え方を拒絶するところから成立する」とはまさに言いえて妙な感じでした。もう1冊谷沢先生の司馬論があるのでそちらを読んでから全集でも再読しようかと考えています。2024/11/01