内容説明
「混沌の世紀」が到来する―クローン・グローバリズム・フリーター…科学技術・経済・個人のあらゆるレベルで混乱が起きている中で迎える二十一世紀は、不安定な末法の世になる。そう予見する著者は、そこではもはや職業も家族も国家も、生きるうえでの拠りどころにならないと説く。その時、人は何を頼りに生きればよいのか。著者は、啓蒙主義、近代進歩史観への懐疑を経て、ブルクハルト、ヴェーバー、そして「現世は不安定きわまりない世界」とした親鸞の思想に辿りつく。際限ない混迷の世紀を生き切る人生観の提示。
目次
序章 「混沌の世紀」―二十一世紀
第1章 「新しい中世」の到来
第2章 職業中心の人生観の崩壊
第3章 「新しい中世」の生きがいをもとめて
第4章 なぜ中世に学ぶのか
第5章 二十一世紀によみがえる親鸞の教え
第6章 二十一世紀の東アジアにおける人生と宗教
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白義
12
文春新書の「二十世紀をどう見るか」の姉妹編的な本で、肩の力をぬいて書かれているから前作で語られた時代認識を前提に読まないと締まりがない印象になる。国民国家が衰退し、技術の発達で職業も家族、科学も拠り所となり得ない、混沌とした「新しい中世」を生きる術を親鸞の他力思想に求めている。混迷の時代に生まれたことを受け入れ、翻弄されながらもそうした「徹底的な凡夫」としての自分を認め、他力により人生を肯定する、というありがちと言えばありがちな内容だが、現代史論とセットで提示される点に面白味あり2014/09/09
暗中無策
0
「二十世紀をどう見るか」の続編と思われるが、二十一世紀の社会や世界に関する分析は面白かったが、それ以外の宗教の部分には共感できなかった。我田引水の感じがする。 2016/08/10