出版社内容情報
「小よく大を制す」はなぜ可能か。常に新しい発想で武術を研究してきた著者が贈る、人間の身体や思考の新たな可能性を示唆する一冊。 体の小さい者をいとも簡単に倒したというかつての武術家の話は真実なのか。あるいは嘘や伝説なのだろうか。 本書では「小よく大を制す」を可能にした、人間に潜在する精妙なる動きの「理」を見つけた著者が、そこから見えてくる世の中の矛盾に目を向ける。 まず、東京・仙台間を一日で走り通した江戸時代の男の話などから、人間の身体が驚くべき可能性をもつことを明らかにする。しかしそのような事実を率直に見ようとしない現代の科学者の問題点や、教育の問題点を指摘する。そして現代人と古人の体の動きの質の違いに気づいた著者は、体の各部位の感覚を独立して感じ取り、かつ働かせる、武術的な動きの「理」を発見する。そして相手がどう攻めてこようとも、一切、受けずかわさず、真っ直ぐに踏み込んで制する幻の流儀「無住心剣術」の理解に至る。 人間の潜在力への気づき、いまの時代を観る視点を変え、私たちに新たな発見を促す。
内容説明
人間に潜在するこの精妙なる動きの理。「身体」への気づきから世の中が見えてくる。
目次
1 率直に事実をみつめて(「術」にこだわる;稽古に現状への疑問 ほか)
2 「小よく大を制す」武術の復活(「井桁術理」で武道・スポーツの限界を超える;現代人と古人の体の動きの質の違い ほか)
3 氷解した無住心剣術の術理(古の達人の技術から武術の原点を問い直す;相手の予測を外す無住心剣術 ほか)
4 人間存在の深層へ(丹田の自覚を目ざして;術理の基盤は「アソビ」と「うねり」のない動き ほか)