出版社内容情報
奇才・スウィフトの恐ろしき予言は、われわれに現代を生きるヒントを与えてくれる。混迷の世紀末を原点から問い直す警世の書。
内容説明
奇才・スウィフトの恐ろしき予言から読み解く現代を生きるヒント。混迷の世紀末を原点から問い直す警世の書。
目次
第1章 『ガリヴァー旅行記』とは何か
第2章 十八世紀イギリスへの反逆
第3章 自然科学への疑問と不信
第4章 人間嫌いのユートピア
終章 暗いユートピアの現実性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
masabi
16
【概要】「ガリヴァー旅行記」を通じてスウィフトの人間観、世界観を明らかにする。【感想】諷刺の槍玉に挙げられているのは、自然科学、近代、そして政治家や法律家を含めた人間一般だ。いずれも滑稽な描写を通じた強烈な諷刺だが、時代が進むにつれスウィフトの誤りが明らかになっていく。しかし、彼個人に根差す根源的な嫌悪が時代を超えて作品が生き残った魅力の原動力となった。 2018/11/25
原玉幸子
1
スウィフト『ガリヴァー旅行記』で示唆される社会政治への風刺の解説は、前半は傑作な視点や切り口でもないので、政治や社会体制を一インテリゲンチャが淡々と新書で論じる類いでいいのでは、と熱量低めでしたが、後半からは『ガリヴァー』にこんな話があったのか、の驚きも然り、著者の挙げるスウィフトの科学と人間嫌いが、(引用文が長いこともあり!)まるで同作品を読んでいるかの様に解り、面白かったです。(とは言え、著者のメッセージは、近代文明然り21世紀云々ほどではないので、「看板倒れ」かと。)(◎2019年・秋)2020/04/17
viola
1
書いてある内容よりも、それによってスウィフトが一体何を言いたかったのか(何を具体的に風刺しているのか)を記しています。 とにかく人間嫌いのスゥィフト。でも、ただ”嫌い”なのではなくて・・・・。 この本の著者も同じ疑問を感じているようでしたが、どうしてスウィフトはここまで自然科学を嫌悪しているのか。政治や人間などを批判するなら分かるけど、ちょっとやりすぎかもね。2009/11/16
222242@es
0
自然科学、近代、人間に対して強い批判を投げかけていたスウィフト。彼の考えは、現代の自然回帰論者、反原発論者に似ているところがある。だが、当時と今とで違うのは、もはや昔には戻れそうにないことである。彼の自然科学への、その特徴たる憶測も有用性への疑問視も、すでに再現性と事実によって否定されてしまった。だが、それでもスウィフトによって「理念は人間を盲目にする」、そして理性的であることに怠惰であることの恐ろしさが示されていたことが、この本を通して分かった。2011/11/09
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