出版社内容情報
慈善事業に取り組む僧たちをめぐって事件が…。
何が人を救い、仕合せへと導くのか。鎌倉釈迦堂に集う僧たちの悩みを通し、生きること、奉仕することの意義を問う珠玉の時代小説集。
女流文学賞に輝いた作品『穢土荘厳』のなかで著者は、救済活動を積極的に行なった宗教家・行基のことを丹念に描いている。本書は、その行基同様、貧者・病者救済に生涯をささげた僧・忍性とその弟子たちの物語である。
▼鎌倉釈迦堂を拠点に活動を続ける忍性らの日常生活は、徒労感・挫折感との戦いだった。救う側の独善、被害者のエゴが剥き出しになり、ボランティア活動の現場には、きれい事ではすまない現実が待ち受けているのである。人間愛の大切さは誰もが認めながらも、時には愛は人の仕合せを奪うこともある。恵むこと、奉仕すること、それを享受することの難しさ…。
▼学生時代に、忍性が造った救済施設・奈良北山の十八間戸を訪ねた著者は、彼らの活動に宗教家のあるべき姿を見出し、鎌倉における彼らの活動を、いつの日か書いてみたいと思うようになったという。
▼時代小説でありながら、宗教の存在意義や慈善行為の問題点に鋭く迫る珠玉の連作短編集。
●落とし穴
●流れ星
●笑顔
●負け犬
●つくも髪
●きのこ汁
内容説明
僧・忍性とその弟子たちは、鎌倉の釈迦堂を拠点に貧者救済活動を行なっていた。一点の曇りもないはずの日常生活―しかし実際には、徒労感・挫折感との戦いだった。人間愛の大切さは誰もが認めるところなのに、愛が人の命や仕合せを奪うこともあるのである。恵むこと、奉仕すること、それを享受することの難しさ…。宗教の存在意義や慈善行為の問題点に鋭く迫った、珠玉の時代小説短編集。
著者等紹介
杉本苑子[スギモトソノコ]
大正14年(1925)、東京に生まれる。作家を志し、吉川英治に師事する。昭和38年(1963)、『孤愁の岸』で直木賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シルク
renren