出版社内容情報
「背水の陣」で知られる武将の生涯を描く。
「背水の陣」で知られる漢の三傑の一人・韓信。はじめ項羽に仕え、後に劉邦に従って漢建国の立て役者となった武将の波瀾の生涯を描く。
張良、蕭何と共に漢の三傑に数えられる韓信。「背水の陣」の奇策や「股くぐり」の逸話で、わが国でもよく知られている武将である。本書は彼の生涯を辿る長編小説。
▼物語は韓信十三歳の少年時代に始まる。淮河の辺の小都市で育った彼は、「六韜六巻六十編」に「孫子」まで諳んじるほど兵技の才に長けた少年であった。やがて二十代も半ばの頃、始皇帝亡き後に、打倒秦に起った項軍に志願し入隊する。後に劉邦軍に移り、蕭何と運命の出会いを果たすのである。蕭何の進言によって、劉邦軍の上将軍に抜擢された韓信は、以後、漢楚の激闘において、北方攻略の別働隊を率い機略縦横、連戦連勝の活躍、斉を平定し、劉邦・項羽に並び立つほどの勢力にのし上がっていった。だが漢楚の戦いに決着がついたとき、彼には大きな落とし穴が待ち受けていたのである。
▼「国士無双」と称された名将の数奇な人生と、漢楚時代の本音で生きる人間模様を見事に描出する力作である。
●第1章 河川戦の縮図
●第2章 大剣
●第3章 股くぐり
●第4章 春芳
●第5章 陳勝の決起
●第6章 項梁と項羽
●第7章 討秦軍の会盟
●第8章 鴻門ノ会
●第9章 漢王劉邦
●第10章 劉邦大敗
●第11章 背水の陣
●第12章 斉王韓信
●第13章 国士無双の最期
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MIKETOM
6
漢の三傑のうち張良と蕭何については既にここで書いているので最後の韓信。張良は外交と戦略で、蕭何は物資と兵員の補給で劉邦を補佐したが、韓信は戦闘指揮官として劉邦に仕えた。天才的な戦術で連勝街道をひた走る。しかしながら政治的には無能であり、劉邦に勝利をもたらしながら一時は裏切るそぶりを見せて過大な恩賞を要求したため、劉邦が天下統一をはたした後は針の筵の上で呻吟し反乱を試みるも失敗。無残に処刑されてしまう。本書では裏切りや恩賞の要求などは誤解という設定になっているがさすがにそれは無理がある。本書は項羽や章邯に2018/10/05
P-man
2
韓信の落ち度や失点は全部見逃すか捏造でスルーして、功績無視して紋切り型に劉邦サゲがずっと続くのでうんざりしてしまった。ついでにほとんど出番のない張良もディスるし、酈食其に至っては劉邦に翻弄された悲劇の秘密工作員。そのうえ幼少期に何度か出会っただけなのに蒯通は親身すぎるし。義理とかそういうのは韓信の周囲にのみ存在するんか?斉国得てから動かない場面なんて、ただ働きなんてありえないって一言で片付けてるけど、いや大将軍ですよねあなた……。終盤になって自分のことお人良しすぎたなんて言えるわけないと思うんですが。2021/05/05
kj.star
1
40歳過ぎで今更の気もするのだが、『韓信匍匐』。僕はこの精神で、残りの人生を生きようと思っています。(マジで!!) 2017/04/07
HIRO
1
戦は天才だけど、政の駆け引きができず・・・「背水の陣」って現代でも使うけど、韓信の戦術の一つだってんですね。2015/04/07
茅渟釣迷人
1
古本2012/05/18