出版社内容情報
一代にして山陰・山陽11カ国を制圧した尼子経久。周防の大内氏と戦いつつ、毛利元就の侵攻にも果敢な抗戦を演じた戦国大名の生涯。
内容説明
毛利離反の報に、尼子方に大きな衝撃が走った。経久は怒るのも忘れ、茫然としてため息をついた。「やはり元就という男、ひとすじ縄ではいかぬ奴じゃった。毛利家を継ぐのを、なんとしてでもくい止めるべきであった」―わずか一代で山陰の雄となり、山陽に進出して11カ国を領有した尼子経久。傑出した将器と深い人間的魅力で人心をつかみ、毛利と死闘を演じた武将の生涯。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
如水
30
尼子経久、別名『謀聖』と呼ばれ山陰山陽地帯十一州の太守迄成り上がった人で、一時期は同類(笑)の毛利元就を従属させた事も有る人物です。若年期は中々破天荒な方で守護代なのに横領、怠慢なんのその。結果、守護(京極氏)と幕府から干されて守護代解任、なんなら追討令迄出されて浪人する事に?しかし其処からの巻き返しが凄い。部下からは『天性無欲正直の人』、他国からは『謀略王』この清濁併せ呑む生き様を淡々と書かれてます(流石PHP文庫?)。客観的に書かれている為、逆に味わい深い作品となってました。秀逸な一品です?2018/10/16
フミ
19
戦国時代の中国地方・山陰の覇者「尼子経久」を主題にした、伝記風の小説です。居城の月山富田城を追われ、また奪い返す~といった辺りの文章は、いまいち盛り上がりに欠けましたが、120頁の「出雲の領国統治」辺りになると、出雲の国の特徴(大社の勢力が強い、鉄の産出が多いなど)を、どう生かして国を治めたかが、丁寧に書いてあったり、大内義興との抗争の辺りも面白かったです。ただ、残念だったのは「年齢を書いてくれない」こと。最初に「1474年で17歳」と書いてくれてましたので、そこから数えながら、読んで行く感じでした。2025/06/09
韓信
2
尼子経久が主人公の珍しい歴史小説。ネタが新鮮なのでそれなりに興味を持って読めるが、人物造形もセリフもすべて薄っぺらく(経久も元就も魅力的な人物は誰一人いない)、経久の事跡をなぞるだけの平板な内容。尼子家は経久個人の力量で版図を広げ、彼の寛容な政策の影響で国人衆を統括する紐帯もゆるかったことが、経久没後の尼子家凋落の要因と見なしており、一門衆より国人衆を厚遇したための興久謀叛や、寺社勢力を尊重した政策などの権力構造にもさらっと触れるなど、尼子の領国経営にも目を向け、単純な英雄物語にしなかった点は評価したい。2016/11/04
フランキー
2
歴史好きの従弟に薦められて読んだ本。はじめて知った人物。戦略も重要だけど、リーダには部下を思いやれる素質が必要なのかな。2016/01/04
松尾三郎兵衛尉拓志
2
山陰地方のマイナー大大名尼子経久にスポットをあてた小説。 細かい注釈も多く入っているので、尼子氏だけじゃなく畿内の事も学べる一冊。2012/05/02