出版社内容情報
信長に仕え、日本初の鉄甲船を造って毛利水軍を撃破した九鬼嘉隆。後に秀吉にも仕えて大活躍をする。水軍の将として天下に恐れられた武将の生涯を見事に描いた長編。
内容説明
「そのほう、地獄を見てきたのは一度や二度ではあるまい」。初対面ではあったが、信長の鋭い眼力は一目で嘉隆の本性を見抜いた。「三度ばかり」。嘉隆は軽く会釈してその場を退いた…。織田信長に気に入られ、世界初の鉄甲船を造って毛利水軍を撃破した九鬼嘉隆。その後、秀吉に仕え、関ケ原の戦に敗れ最期を遂げる。水軍を率いて天下に恐れられた武将に新たな光を当てた歴史長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ああああ
7
信長が毛利の水軍を破ったときの立役者、英雄としての九鬼嘉隆ではないのが良かった。もともと海賊ではない、特別優秀な指揮官ではない、視野も狭く中世から先の時代は見えていない、そんな男の視点による戦国時代はリアリティーがあった。それだけに秀吉が朝鮮出兵を決めた時に発したという言葉には凄みを感じる。2015/08/09
peko-k2
4
海賊、水軍という性質なのか、歴史にあまり記録が無い事が残念だ。だた、著者も書いてあったが、無い中で想像するのも楽しい。信長、秀吉、家康とこの時代に生き抜いたというのは凄い。2015/07/04
なつきネコ@中学入学した化け猫
3
なかなかおもしろかった。この手の作品は、何か一つの新解釈で満足し、主人公無双するが、この作品は違う、作者が水軍、九鬼嘉隆に興味を持ち、考えて作られている。さらに、九鬼はそれほど大した人物に書かれていない。鉄甲船を考えたのは信長と、九鬼はそのプロジェクトリーダーってだけ、信長に仕えた後の流された人生だと言う描写が良かった。水軍を知りたいと思い読んでみたが、そこの知識も理解できた。なにより興味がある時代の別世界って感覚が私に受けたなと思う。2013/12/14
k_n_a
1
既製の考え方に異を唱え、真実に近い物語を描こうとする姿勢と、小説としての面白さの両面を持っている。2022/09/04