出版社内容情報
戦国末期の激動の時代に、秀長・家康を表に立て、“影の人”としてたくましく生きた高虎。“ゴマスリ大名”と言われてきた彼の汚名を濯ぎ、その実像に迫る長編小説。
内容説明
戦国末期の激動の時代を、己の天賦の才能を駆使しながらしたたかに生き抜いた藤堂高虎。浅井長政の下で初陣を飾った後、阿閉淡路守、羽柴秀長、豊臣秀吉と次々と主君を替え、関ヶ原の戦では家康に属し、ついに伊勢・伊賀22万石の主となった。その後も豊臣恩顧の外様大名でありながら、家康から親藩以上の厚遇を受け、10万石を加増されるに至る。乱世にあって、何を信じて生きるのか?自己の生を忠実にまっとうする以外ない。“ゴマスリ大名”藤堂高虎像を真っ向から打ち破った野心作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あーさん☆㊗️天久鷹央実写化!環奈ちゃん最高です!(≧▽≦)
75
浅井長政→羽柴秀長→豊臣秀吉→徳川家康と君主を替えまくった藤堂高虎の生涯。2019/11/08
フミ
18
司馬先生の書かれ方に反発を覚えて読んだ本、再読です。戦国後期~江戸初期にかけて、戦・政、両方で頑張った働き者大名「藤堂高虎」の姉川の初陣~徳川三代将軍下の晩年までの大量の仕事ぶりを、主に作者様の解説という形で書かれている本です。戦争や城造りなどの難しい話ばかりではなく、クスリと笑える話や、名君として感心出来る話なども、全350頁の中にビシッと詰まっていて、満足出来ました。就職内定の決まった学生さん、転職直後の人など、この本を読むと、前向きで元気付けられるのではないかな…と思います。2024/01/27
maito/まいと
7
PHP文庫での歴史人物シリーズの中で、最も印象に残っている一冊。謀略家・ごますり大名と評される藤堂高虎を、武功あふれる戦国武将・築城に長けた名采配・家康に最も信頼された全体像の持ち主といった、新たな観点を、その過程を通して、非常に丁寧に描いているので、武功一辺倒だった高虎がいかにして引き出しを増やしていったのかが理解しやすく親近感を覚える。おそらく高虎への印象が変わるだけではなく、世情の変化に合わせて、己の持ち味を変えていける素直さと誠実さこそが、高虎を生き残らせていったことに気づくだろう。
mott
4
十人もの主君に仕えた男、藤堂高虎の生涯を描いた作品。戦国一不義の男とも称されているが(特に司馬遼太郎より)、これを読めば、決してそんなことはなく、前半生は生い立ちや行き着く場所に運がないだけで、これと決めた人には、骨身を惜しんで尽くす奉公人であることがわかる。そして、秀長、秀吉、家康に必要とされたのは、彼の何事も学ぼうとする姿勢により培われた知識と経験だと思うし、それが築城の三名手のうちの一人に数えられた所以だろう。またこの本で、豊臣秀長という人の凄さと、彼を早くに失ってしまった豊臣家の不運がわかった。2014/09/19
Yuichiro
3
【★★★☆☆】日本一のゴマすり男ということで気になって読んでみた。でも期待していたほどというか全然ゴマすり部分が感じなかったのが、逆に残念。むしろ誠実で忠義に厚い人間だった。司馬遼が描く高虎のコウモリ的な印象が強くあったため、高虎の闇の部分を知りたかったのにな。結局捉え方の問題で誠実にもゴマすりにもなれてしまうんでしょうね。2012/06/02