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出版社内容情報
負の遺跡を巡り、埋もれた歴史を知ることで、現代社会を生きる上での学びを得るダークツーリズムの拡張を図る一冊。
井出明[イデアキラ]
著・文・その他
内容説明
日本のダークツーリズム研究の第一人者が新たな視座と可能性を提言する、革新の紀行書。隠れキリシタンの悲しみに迫った「長崎編」を含む解釈の拡張を試みる書き下ろし3篇を収録。
目次
ダークツーリズムを「拡張」する前に
マレー半島で考える戦後七〇年
ロシア、近くて遠い国のダークツーリズム
シベリアの記憶を歩く
戦争とテロを巡るフランスの旅
拡張試論 我々は“レディ・ジェーン・グレイの処刑”といかに対峙すべきか
ロサンゼルス・ディアスポラ・ツーリズムガイド
オーストラリア・コンビクト・ツーリズムガイド
満州というプリズム
ダークツーリズムで観る長崎
「拡張」されるダークツーリズム
著者等紹介
井出明[イデアキラ]
観光学者。金沢大学国際基幹教育院准教授。近畿大学助教授、首都大学東京准教授、追手門学院大学教授などを経て現職。1968年長野県生まれ。京都大学経済学部卒、同大学院法学研究科修士課程修了、同大学院情報学研究科博士後期課程指導認定退学。博士(情報学)。社会情報学とダークツーリズムの手法を用いて、東日本大震災後の観光の現状と復興に関する研究を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobuko Hashimoto
16
本書は一般向け紀行書ということもあり、一ヶ所一ヶ所に関しては、まさに見てきた記的な、ざっとした記述になっている。それでも一人でこれだけ世界各地、日本各地を巡るということ自体に驚嘆する。こうして各地をまわることで、比較、参照の対象が増え、見えてくることも増えるのだろう。2018/10/27
zikisuzuki
3
日本にダークツーリズムが受け入れられないという理由の一つに作者は日本人の死生観をあげている。多くの犠牲者が出た場所に物見遊山で出かけることはけしからんという事だ。日本人の美徳かもしれない、しかしそれも世界から見れば独りよがりであり、未だに大日本帝国軍の所業に対する世界の評価を受け入れられないことは恥ずかしいと、これを乗り越えるためにもダークツーリズムは有効なんだなと知った。近くて遠い国ロシアが乗り越えていこうとしているもの、満州で乗り越えられなかった法人の夢、等々知らなくてはならないことは山ほどあった。2018/09/13
マウンテンゴリラ
2
ダークツーリズムというテーマにひかれての3作品目であるが、本書では、拡張というタイトルがついている通り、いわゆる定番ではなく、馴染みの薄い場所が多数紹介されていた。それが却って近代というものを批判的に見直す意味を鮮明に示してくれており、それこそがダークツーリズムの最大の意義であるということも感じさせてくれた。では、近代の見直しとは何か。また、それを見直す必要がどこにあるのか。それはやはり、近代というものが基本的に闘争の歴史であり、その陰で多くの犠牲が強いられたということだろう。→(2)2020/10/09
akanishi
2
実に面白い。旅に出てぼやーっと眺めるのはそれはそれでよいが、キチンとした前提知識を得て、自分のアタマで考えるとまた体験できるものもちがうんだなあと2019/09/03
oritako
2
ようやく通読。ソ連崩壊後のシベリアの歴史観に驚き、フランスで意外な展示があることにも驚く。筆者・井出先生の旅の足取りを追っていく形だし、テンポのよい文章で普通に旅行記としても読めるが、そこから次々と連鎖し近代史が浮かび上がってくる。ある場所のちょっとしたことも、その経緯をしると全く違う印象で見えてくる。満州をプリズムと書かれていたが、この本自体がプリズムで旅を見せてくれる本だった。2018/12/10