内容説明
超細密絵画、スーパーリアル・フィギュア、複雑怪奇な工芸品!?現代作家20人の挑戦に迫る!日本美術が生んだ究極の技、集結!!
目次
1 鑑賞編―現代作家たちの「超絶技巧」。予備知識なしで、まずは作品を味わおう。(池田学;安藤正子;山口英紀 ほか)
2 技巧編―超絶作品が生まれる制作現場を公開!神技テクニックに迫る。(田嶋徹―身体全体を使った「型」で描く細密画;前原冬樹―一本の木に時間を留める;山口英紀―現代の水墨表現を追求 ほか)
3 歴史編―山下裕二さんが解説。日本で生まれ、受け継がれる技巧の歴史。(倉本美津留さんと行く!超絶技巧の聖地巡礼;超絶技巧の絵画史)
Artist File 注目の超絶技巧作家たち
著者等紹介
山下裕二[ヤマシタユウジ]
1958年広島県生まれ。美術史家。明治学院大学文学部芸術学科教授。もともと室町時代の水墨画を専門にしていたが、縄文から現代美術まで、歴史に埋もれてしまった作家の再評価や、価値の定まらない作品の発掘などを行い、世に紹介する活動を続けている。2011年に狩野一信「五百羅漢」展(江戸東京博物館)監修。2014年には、「超絶技巧!明治工芸の粋」展(三井記念美術館)の監修を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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きいち
28
ナニコレ、すごい、むちゃくちゃ楽しい!◇超絶技巧、スーパーリアルから微細の極み、絵画に彫刻、漆工にフィギュア…そう、そのアイアン澤田の造形。骨格に肉付けしてそれを型にして目や歯は内側から…って、そう、この人たちに計算はない。アールブリュットじゃないけど、でもそこにかけられた労力はアウトサイダーそのもの。マーケティングしてそうな漆工のプロデューサーだって、予算に縛られてるそうな文化財保存研究科だって、その作品を見ると言葉はない。◇応挙から蘆雪、蕭白、若冲に、松園、華宵…と続く系譜。つながるつながる。2019/10/22
那由多
21
パラパラとめくったら、拝見したことのある現代美術家さんが何名かいらっしゃったので、知ることのない創作過程なども見れ、より関心が深まった。応挙、若冲らの歴史的作品の解説まである。2020/12/21
yyrn
20
現代日本の美術・工芸の底力を見せつけられ、凄い技巧の数々に言葉も出てこず、圧倒された。円山応挙や伊藤若冲らと比較しても遜色ないその作品の数々は、まさにクール・ジャパンに相応しい。個人的には山口英紀の水墨画的ぼかしに打ちのめされたし、アイアン澤田の生(なま)人形には色気を感じ、漆や蒔絵細工の細密さはさすがで、模刻の木造菩薩立像の鼻筋にキレイに木目が出ているところも素晴らしい。写楽や北斎の浮世絵を現代に蘇らせる工房の仕事もG-Job!ただ、殿様的パトロンがいない時代にどうやってその技を次代につないでいくのか?2019/03/16
更紗蝦
20
掲載されている作品のいくつかは直に展覧会で見たことがあり、その時頭に浮かんだ単語は「職人技」だったのですが、この本では自らの表現を突き詰めている作家さん達を「修行僧」に例えており、「確かに“職人”よりも“修行僧”の方がより近い印象だなぁ」と納得しました。CGによる作品が出始めた頃、「手仕事による技巧的な作品はこれからどんどん評価されなくなるのかなぁ…」と心配になりましたが、杞憂に終わって良かったです。個人の努力で生まれた作品の評価だけでなく、徒弟システムや工房システムの再評価の必要性も感じさせる本でした。2015/09/09
bluemint
15
芸術と職人技とはどこが違うのだろうか?いわゆる芸術よりも、突き抜けた職人技の方が感動することが多い。修行僧のようにストイックに妥協せず徹底的に描く・創る。基準は自分。写実絵画やこの細密画など、「これは芸術ではない」などというやつがきっといるんだろうな。池田学さんの絵を見てみたい。 価格は高くなるが、大判で発行したほうが良かったと思う。2017/06/18