出版社内容情報
現代人の失った自由奔放な想像力と、恐怖への素朴な畏敬に満ちた、ファンタジックな怪奇民話の世界をお楽しみ下さい。1.人魚・妖精の話2.幽霊の話3.狼男の話4.山の怪異・町の怪異の話5.信仰・奇跡の話6.巨人・怪獣の話7.魔女の話8.悪魔の話9.死神の話 小学校高学年~
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
52
夫婦が釣りに行って人魚を見つけ、夫は逃がしてやろうとしたのに妻が連れ帰ったため、夫と子供のいる家が海に呑まれてしまう。この話で奇妙なのは張本人の妻だけ助かる所だ。人魚のせいで災難に遭うのは男の役割という事なのか。別の民話では、夜の海で男達が人魚の声に誘われて船を漕ぐ。舵音に逃げ出す人魚を見て船主の男は思わず網を投げ、そのまま海に落ちて行方不明になってしまう。もし彼が衝動に駆られただけなら(自業自得とはいえ)少し同情するが、世の中には人魚を見せ物にしようとする人もいるらしい。そんな人は必ず不幸に陥るようだ。2015/02/15