出版社内容情報
西欧文化、とくにドイツ文化の特性の把握、西欧規範の認識を本旨とした研学の成果七編を収めた旧版に、さらに「サルウィアーヌス考」「ドイツ中世における経済構造変化の問題とドープシュ教授の問題意識」の二編を収録。
目次
第1 古ゲルマン民族の国家生活
第2 『伝カール大王御料地令』文献考(『伝カール大王御料地令』に関する諸文献;『御料地令』の手書本。ガーライスの研究;ドープシュ教授の研究;テオドール・マイヤーの研究;エルスナーの研究)
第3 封建制度研究に於ける一傾向(封建制度の比較研究;フランク時代の恩給制に関するブルンナーの見解とその修正)
第4 中世ドイツに於ける国家統一の問題
第5 『コーデックス・ラゥレスハメンシス』の成立とその内容(『コーデックス・ラゥレスハメンシス』の新刊本。三種の問題;『コーデックスラウレンスハメンシス』の成立とその内容とに関するグレックナー氏の見解)
第6 中世に於けるドイツ語古文書(13世紀以降におけるドイツ語文書増加の趨勢;エルフルトのユダヤ人誓言範例;フリードリッヒ二世の全国和平令〈1235年〉)
第7 『フッガー時報』考
補篇 サルウィアーヌス考―特に「神の支配」におけるローマ没落観について
感想・レビュー
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中村禎史
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筆者は日本で最初に史料批判の重要性を説いた歴史学者と言われ、その要点があとがきに記されている(先達の成果を読むよりも史料を直接読むこと、史料の性質と成立経緯を自ら考究すること等)。含まれている論文は、①9世紀頃「伝カール大王御料地令」作成は誰の命によるものか、誰を対象にする条令なのかの検討、②14世紀ごろからの史料がラテン語からドイツ語中心に移り行くのは民族意識の現れ等ではなく、伝えたい相手がドイツ語のみを解する世俗の人々であったこと、③16世紀フッガー家による時報の成立経緯、信憑性、(続く)2021/08/29