内容説明
母さんがいなくなってからも、毎日「スクラブル」で言葉の勉強をしているよ。おかげで、かなり進歩したと思う。大会で優勝したいのは、母さんにぼくを誇りに思ってほしいからなんだ。母さんが今、どこにいるにしても―。
著者等紹介
スレイター,キム[スレイター,キム] [Slater,Kim]
イギリスの作家。小さいころから物語をつくることが好きだった。ノッティンガム・トレント大学で英語と創作を学び、2015年、『スマート―キーラン・ウッズの事件簿―』でデビュー。この作品が高い評価を得、リーズ図書賞など10もの賞を受賞
武富博子[タケトミヒロコ]
東京生まれ。幼少期にメルボルンとニューヨークで暮らす。上智大学法学部国際関係法学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
38
フィンレイの母親は失踪し、父は仕事で家を空けがち。吃音でうまく喋れないフィンレイは同級生からいじめられていた。喋れないことで周りから馬鹿にされ毎日が面白くない。唯一の楽しみはアルファベットをクロスワードのように並べるパズル[スクラブル]の練習だけだった。母親が教えてくれたスクラブルをすることで母親と繋がっているような気がしていた。ある日インターネットのスクラブル対戦ゲームで出会ったアレックスと仲良くなったフィンレイは、アレックスが母親のことを知っているのではないかと疑う。母親は何故急に消えたのか▽YA。2018/07/30
杏子
20
吃音の少年フィンレイの、スクラブルというゲームを通じての成長物語と、二年前に理由も告げずに家を出ていってしまった母親の謎を解くミステリー仕立ての要素が絡み合った作品。前半は、スクラブルというゲームに馴染みがないせいなのか、ピンと来ず。またフィンレイの吃音をからかうオリヴァーと友人たちからのいじめの様子にもうんざり。うまく話に溶け込めなくて時間がかかってしまった。後半は、フィンレイの謎のオンラインゲーム相手のアレックスのこととか、いろいろなピースがピタッと嵌まってくるようで少しは進んだ。最後は消化不良かな。2018/06/17
みーさん
8
題名からファンタジーを想像していたが、母親が失踪した吃音の少年がスクラブルというゲームを通して成長する物語だった。ネットで出会った相手はいい人なのか悪者なのか。リアルなマリアムの存在が頼もしいがマリアムもまた苦しみを抱えていた。2018/07/05
そらこ
6
13歳のフィレインの吃音は、2年前母が失踪して悪化した。学校で苛めに会い、ネット上のスクラブルゲームが慰めだ。対戦相手のアレックスと会話し始め、アレックスの義母が自分の母ではと疑う。学校でスクラブルクラブに誘われ、全国学校選手大会に向け、かつてパキスタン代表チームにいたパキスタン人女生徒マリアムの指導をうける。マリアムも人種的な差別を受けていた。障害、差別をどう乗り越えるか?スクラブル大会への道は?母はどこに?なぜ失踪を?物語は、犯罪のからむ思わぬ方向へと動き、暗中模索するフィレインはたくましく成長する。2018/07/15
shoko.m
6
母親が突然いなくなり、フィンレイは父親と新しい町で暮らすようになった。そのせいか、吃音がひどくなり、学校ではひどくいじめられる。フィンレイのよりどころは、母さんに教わった「スクラブル」という言葉を使ったゲームだ。ある日フィンレイは先生に才能を見出され、スクラブルの大会に出場することになった。優勝すれば母さんがぼくを誇りに思ってくれるかも……。この物語は、フィンレイの成長譚であり、父親と母親、家族の物語であり、パキスタンからきたミリアムとの友情物語であり、母親の失踪の謎解きでもある。フィンレイに幸あれ。2018/01/26