内容説明
「氏族の掟に従い、おまえをハズシにして追放しなくてはならん」…胸に刻まれた邪悪なしるしを見られてしまったトラク。氏族からはずされ、追われる身となる。トラクに寄り添ってくれるのは、オオカミのウルフだけ。すべては“魂食らい”が仕かけた罠なのか?次々と明かされる驚くべき秘密とは?―想像を越える面白さのシリーズ第4弾。
著者等紹介
ペイヴァー,ミシェル[ペイヴァー,ミシェル][Paver,Michelle]
オックスフォード大学で生化学の学位を取得した後、薬事法を専門とする弁護士になる。神話、民俗学、考古学の書物を読みあさり、アイスランドやノルウェー等に旅をしては物語の構想を練り上げていった
さくまゆみこ[サクマユミコ]
出版社勤務を経て、現在はフリーの翻訳家・編集者。玉川大学・大学院非常勤講師
酒井駒子[サカイコマコ]
東京芸術大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
344
この巻でトラクはトーテムを失い、オオカミ族としてのアイデンティティの拠り所を失うことになる。そうすると、当たっているかどうかはともかく物語全体は、トラクが新たなトーテムを獲得するか、あるいは全てのトーテムを統べる王になるといった始祖神話を構成していくことも予想される。また、最初からその予兆は十分にあったのだが、この巻でレンがトラクを援ける巫女としての位置をより明確に示している。日本神話でいえば、まさにヤマトタケルと弟橘媛(オトタチバナヒメ)に比肩される構図である。2022/11/27
Rin
70
【図書館】こんかいも苦しくて、読むのが辛い内容。トラクやレン、ウルフの幸せな日常が続く時はいつくるのだろう?と思いながらの読書。トラクの心が病んでいる状態は本当に辛かった。でも、よく考えてみるとその状態は私たちにもあること。つい悪い方に考えたり、誰かを傷つけたくなったり、楽な方へ逃げてしまったり。魔がさしてしまうような状態なのかも。それに負けずに苦しくても立ち向かうトラクに、間違ってもそれを認めて向き合うレンたちに頭が下がる。そしてウルフの悲しみや悩み、孤独が切ない。彼らの成長と戦いを追いかけたいです。2017/11/19
Rosemary*
51
罠にはまり魂喰らいの入れ墨を入れられてしまったトラク。氏族から「ハズシ」として追放され逃げまどう。友を巻き込みたくない想いから、遠ざけ孤独を味わう事に。今まで守られて来た森からも敵対される。追われる緊迫感と仲間との別れが切なく胸に迫ります。更に魂の病に冒されそれまでの生きる術や、トラクとの言葉さえも忘れると言う残酷さ。この先どうなるのかとハラハラドキドキしながら共に闇の中へ。そんなトラクを助けるため、忌み嫌う魔術を使うレンであるが、そこにも新たな秘密が…大変楽しめました一冊次巻も期待。2015/07/16
榊原 香織
48
シリーズ4 太古の北欧 狼から見た表現と石器時代の食べ物が意外に美味しそうなのと2023/12/01
星落秋風五丈原
41
トラクについてきてくれるのが頼もしきウルフ。今回は仲間の狼から「狼は二つの群れを持つことはできない」宣言される。これは大変なことだ。ウルフの人生にわたる選択になる。トラクが何をされたかは、もちろん人間の言葉を解さないのでわからないが、レンやいつもいる部族たちと険悪になった事は察してトラクを選んでくれる。人間よりも情が厚い狼なんて、とんでもないキャラクターを登場させたものだ。ベイルとレンの様子を見てトラクがやきもちをやく場面も出てきたので、古代の少年少女にも、いよいよ青春の到来か。2022/07/03