内容説明
恐ろしい闇の力を秘める黄金の指輪をめぐり、小さいホビット族や魔法使い、妖精族たちの、果てしない冒険と遍歴が始まる。数々の出会いと別れ、愛と裏切り、哀切な死。全てを呑み込み、空前の指輪大戦争へ―。旧版の訳をさらに推敲、より充実して読みやすく美しい、待望の「新版」。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
392
この巻では再びメインプロットに戻り、フロドとサムの物語となる。そして、ここに新たにスメアゴルが登場する。そのイメージの源泉は北欧ゲルマン神話(※)のファーフナーだろう。元は巨人族だが、「指輪」を独占すべく大蛇に身を変え、洞窟で眠っていたが、ジークフリートに殺され指輪も奪われる。このファーフナーにニーベルング族のミーメの要素を加味して造形されたのがスメアゴルだろう。さて、フロド一行の艱難辛苦の旅は続くが、途中で彼らの危機を救うのが「ガラドリエの玻璃の小瓶」といった魔法アイテムであり、ファンタジックな要素は⇒2019/05/05
藤月はな(灯れ松明の火)
95
間違えて第二部は下巻から読むことになってしまいました。下巻はまるまる、指輪破棄のために別れたフロドたちの旅路。一行と別れたフロド達は指輪の前所有者であったゴクリことスメルゴアに追い付かれ、旅路を共にすることに。フロドがビルボを見習い、慈悲の心を持ってスメルゴアに接するのに対し、サムは警戒心からゴクリを敵視する。フロドには懐くのにサムの言動でやさぐれるスメルゴアはラベリングで苦しむ更生中の人間みたい。しかし、香草入り兎肉シチューが美味しそうで唾を呑み込むことしきり。そしてじゅうって明らかに「象」だよね?2017/01/05
みっこ
63
我ながら気が多いけど、言わせてください。ファラミア大好きー!フロド•サムとの会話では、彼の慎重で頭が回り礼儀正しい性格がよく表れている。そして兄への尊敬と愛情。ボロミアの死を二人に告げるシーンは、読んでいて辛い。。ファラミアがフロドたちの使命を理解し、何の咎めもなく行かせたこと、別れ際の言葉には涙が出ました。フロドの賢い返しも好き!さすがビルボの養い子。ここにきてフロドの強さに圧倒されてます。一度引き受けたことだからと、どんな障害が現れようが前に進む。フロドとサムが『物語』の話をする場面で泣いてしまった。2015/11/13
南北
60
ようやくフロドとサムが再登場。さらにゴクリと一緒に旅をすることになる。不信感をあらわにするサムとゴクリのやりとりがおもしろい。途中でフロドとサムが一種の「物語論」を展開するところは興味深く感じた。最後はシェロブとサムの対決でサムが目を見張る活躍を見せるが、まだまだ困難な旅は続きそうだ。それにしても象に似た動物が「じゅう」というのはどうなんだろう。原文では「Oliphaunt」なので、「オリファント」でも良かったような気がする。2022/08/24
Willie the Wildcat
58
思惑の交錯。義の定義。善悪のみが尺度ではない。(必ずしも100%好感を持てないのも事実だが)ゴクリも、自身の運命を懸命に生きている・・・。フロドもその哀しみも理解しているはず。加えて、モルドールの豊富な自然。思わず微笑むサム。これも印象深い。イデオロギーの違いがあるも、世界は1つ!という著者のメッセージかと勝手な推察。蛇足だが、「ファラミアの判決」の”1日”はどんな意味なんだろう?嗚呼、理由が知りたいなぁ!2015/01/13