出版社内容情報
紀元前3万年、旧人ネアンデルタールの部族に拾われ育てられた、新人クロマニヨンの少女エイラ。容貌、心情、考え方の違いは、エイラの成長とともに軋轢を増し、エイラは部族のなかで孤立してゆくー。遥か太古の人々の冒険とロマン。世界中が熱く注目する壮大な大河小説。 中学生~
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
文庫フリーク@灯れ松明の火
66
ネアンデルタール人・ブラウドの血とクロマニヨン人・エイラの血を継ぐ子供・デュルクは、周囲からすれば外見からして異形の子。リーダー・ブルンは温情ある罰をエイラ与えつつ、一族の子として迎え入れ、大モウグル・クレブは灰色狼のトーテムをデュルクに与える。折しも洞窟熊を一族のトーテムとする10部族の、7年に1度開かれる氏族会に、体調不良のイザに代わり、まじない女としてホスト役の部族への旅に同行を許されるエイラ。儀式のため飼育される檻の洞窟熊に恐れることなく触れ、一族を守護する霊への捧げものとして贄とされる洞窟熊→2014/09/28
punyupunyu
8
氏族会で垣間見た氏族の閉ざされた未来とよそ者:新人の繁栄に驚愕し消沈するクレブは、自らの死期が迫ったとき、新人エイラが氏族に遣わされた意義、旧人と新人の血がが流れるデュルクの存在意義に気づき、希望の光を見出した。そんなクレブもイザも死んでしまい、ブルンからリーダーの座を譲り受けたブラウドはここぞとばかりに復讐の鉈をエイラに振るう。エイラは愛息・デュルクを残して氏族を去ることになる。2014/11/10
びっぐすとん
4
図書館本。ずっとエイラを庇ってくれたイザやクレブの死、ブランの引退により、エイラを敵視していたブラウドがリーダーに。ブラウドってほんとヤな奴、器が小さい。クレブの推察通り、氏族滅亡の予兆はネアンデルタール人滅亡の予兆。デュレクのようにわずかに旧人と新人の混血は生きながらえるかもしれないが、エイラ一人でもこれだけ違うのだ、集団となったらクロマニョン人の方がはるかに優位だろう。ついに氏族を放り出され、エイラは自分と同じ種族を探す旅に出る。はるか昔にタイムトリップしたような感じになる。第2部も読まなければ・・。2017/02/11
shou
4
心の交流があるからこそ浮かび上がる埋めきれない種族の差異と、滅びへの予感が切ない。究極まで削ぎ落とした世界での人と社会の心理を考えてしまう。原始の時代の力強さが胎動する、魅力ある物語だった。気になる続編は打って変わって評価が低いようで悩むところ…。2013/09/08
pegochan
1
ブラウドのもとでどうなるのかと思っていただけにこの終わり方はとてもしっくりときた。 ネアンデルタール人の滅亡とエイラの来た意味を悟るクレブ、仲間を探せと言い残すイザはともに素晴らしい。 第2部ではエイラが仲間を求め探す話になるのだろうが、とても楽しみである。2016/06/25