内容説明
イギリスで陶磁器の店を営むアラン・デズランドは、仕事先のコペンハーゲンで、輝くように美しい謎のドイツ娘カリンと知り合い、たちまち恋に落ちる。アランは、過去の一切を知らぬまま、彼女をイギリスに呼び寄せ結婚する。二人の官能的で甘い日々が始まる。当初カリンに不審をいだいていた人々も、やがて彼女の魅力に惹きつけられていく。そして、彼女の思いもかけない大手柄…。幸せな日々は、いつまでも続くかと思われた。しかし、不思議な出来事が二人のまわりに起き始める…。名作『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』のアダムズが、みずから「最高のエロティックな小説」を目指したという、夢と愛と謎と恐怖が錯綜する話題の海外ベストセラー小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
5
『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』や 『疫病犬と呼ばれて』といった動物ものファンタジーとはまったく違った雰囲気の恋愛小説になっている。アランは、彼の仕事で取り扱う陶磁器のように繊細で、もろさを備えた人物として描かれている。この点、著作者アダムスの心情を投影した、私小説といった趣きがある。相変わらずの描写の細かさ、美しさは当然のことながら、カレンの美貌について、意図的に細かい描写をしておらず、読者の想像にまかせて、より一層美しさを際立たせている点は鮮やかだ。2010/08/06
shirone_koma
1
怖い話、としてオススメされた本。 天使か妖精のような美女・カリンに恋してしまった男・アランの、自伝風の恋愛小説、という印象を受ける本作ですが、最終章（28章）の途中に唐突に挟み込まれているパラグラフを読んで、印象が一変します。一読目は何を言っているのかイマイチ良く分からなかったのですが、読み返して、考え直して、カリンが何をしたのかに気づき……うわあぁぁという気分に。2012/02/20
