内容説明
やっとたどりついた理想の地、ウォーターシップ・ダウン。しかし、おだやかな日々はつかのまだった。つぎつぎと襲いかかる困難に、知恵と勇気と友情で立ち向かうウサギたち。命を賭けた戦いがはじまる…世界中をとりこにした感動作、待望の改訳新版!。
著者等紹介
アダムズ,リチャード[アダムズ,リチャード][Adams,Richard]
1920年、イギリスのバークシャー生まれ。オックスフォード大学で歴史を学び、第二次世界大戦従軍後、政府機関で働く。1972年に、『ウォーターシップ・ダウンのウサギたち』を発表。この作品で同年度のカーネギー賞、ガーディアン賞をダブル受賞し、1974年からは、作家活動に専念している
神宮輝夫[ジングウテルオ]
1932年生まれ。早稲田大学大学院英文学専攻修了。児童文学研究者。児童文学評論。英語圏の児童文学研究、翻訳、創作など幅広い分野で活躍。日本児童文学協会賞(1964年)、サンケイ児童出版文化賞(1966年)、児童福祉文学賞(1968年)を受賞。青山学院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
115
お父さんが娘に車で語ってきかせたお話が始まりらしい。だから、女の子も少し登場する。抱かれていた時のヘイズルの気持ちを考えると少し頬が緩む。ウサギは弱いから、ウサギ同士で戦っている場合ではない。協同して天敵に立ち向かうべきなのだ。しかし、引くに引けない戦いもある。将来の成長プランを立てる足を引きずったウサギも、犬にだって立ち向かう将軍も立派だ。ビグウィグの勇敢さや一途さは比類なきものだ。みんな、かけがえのないウサギたち。そして優しいエンディングに、どうしても涙があふれてきた。2016/04/20
ちょろこ
64
お疲れさまの気持ちでいっぱいになった一冊。楽園にたどり着きそこでいかに自分たちの血を繋いでいくか…大人にとってはハラハラするだけではない、うさぎたちの知恵に驚き、勇気をもらい、仲間との信頼関係に涙する、そんな盛りだくさんな冒険物語で大満足な読書時間だった。自分の考えは間違っているのか、ふと悩むヘイズルを始め、うさぎたち誰もが人間くさいのがなんとも魅力的だ。美しさも纏ったラストも印象的。ただただ一言、みんなお疲れさまという気持ちでいっぱいになり、思わず愛うさぎを抱きしめた。2018/04/01
とろこ
63
ウサギ版冒険活劇の下巻。理想郷を求め、旅するウサギたちに、最大の敵が現れた!それは、独裁政治を執り行っているウサギの一団で、首領は恐ろしいほどに強かった!その集団に、体力と知恵を駆使して立ち向かう彼ら。みんな頑張って!と応援しながら読んだ。寓意性の強い物語だと思うが、深く考えず、ストーリーを追うだけでも楽しい。特に、何があっても仲間を信じて守る!という気概が素敵だ。ラストは少し切なかったが、美しかった。彼らの物語は、きっと、ウォーターシップダウンで、神話と共に語り継がれていくに違いない。2018/04/07
昼夜
50
一度出会ったら二度と忘れない、いつも心の中にいるヒーローになる物語。読み始めた動機が読み終わった今、恥ずかしくなりました。車の中で子どもたちにせがまるままにこの物語が生まれた事実にとても驚きました。そしてそんなお父さんがいることが羨ましいです。2011/04/07
ワッピー
42
合間に語られるエル・アライラーの物語 ー 創世神話から始まり、次第にウサギたちの実体験を取り込み、群れを導く新たな力となるプロセスの見事さは何度読んでも感涙モノです。巨大なエフラファとの交渉は決裂、乾坤一擲の勝負に出たヘイゼルたちの戦いと命を賭けた策略、そして大団円までシルフレイも忘れて読みました。今回の気づきは、小さなピプキンの絶大な信頼がヘイゼルを支えてきたことです。また他のモブウサギ(失礼!)たちにもちゃんと活躍の場があったことに改めて感動しました。 この物語は今もワッピーのオールタイムベストです。2019/10/25