内容説明
分子レベルでの生物機能の解明は、試験管内で生命反応を試みるというような無細胞系で発展してきた。しかし、この結果だけでは生物の実体像はつかめないといわれ、この問題を克服するために必要な考え方が求められている。本書は、分子レベルで解明された事実と顕微鏡観察などによってえられた細胞構造の微細な変化の両者を総合して、生物体を考察する方法が身につくようになることをねらいとしている。まず、DNAやRNA、タンパク質、脂質など細胞生命に参加している物質について、現在までに明らかにされている知見を丁寧に解説する。その基礎知識をもとに、それらの分子から成り立っている膜系小器官や細胞運動器官、エネルギー代謝機構、さらに細胞進化などあらゆる面から生物の実体像にアプローチしていく。
目次
1章 細胞生命とは
2章 細胞をつくる物質
3章 細胞生命を演出する物質(1)DNAとRNA
4章 細胞生命を演出する物質(2)タンパク質
5章 細胞生命を演出する物質(3)リン脂質と糖質
6章 細胞の小器官―膜系小器官
7章 細胞の小器官―非膜系小器官
8章 細胞のエネルギー代謝
9章 光エネルギー利用代謝―光合成
10章 細胞進化