内容説明
先天盲あるいは早期失明者で、後に開眼手術によって視力を回復した人達(開眼者)の視覚体験は、われわれ一般人には想像もつかないようなものであることが明らかにされている。それらの研究事例は、視知覚形成の生理心理学的機序を解明する上で貴重なデータを提供するものである。本書はこの分野の研究に長年携わってきた著者らの数多くの興味深い実験および考察結果の集大成であり、心理学および医学、生物学、リハビリ学等、関連分野の研究者にとって待望の書といえよう。第2巻では、奥行や立体の知覚および身のまわりの事物の識別について詳述している。
目次
1 序論
2 「立方体と球」―問題の発端と展開
3 開眼後の「立体」の弁別・識別
4 開眼直後の奥行視体験
5 奥行距離の知覚と視空間の構造化
6 大きさ‐距離関係の知覚と視空間の構造化
7 色の知覚と視空間の構造化
8 形態知覚と視空間の構造化
9 重なり図形の知覚
10 透視図的線画の立体視と立体の描画
11 開眼直後の事物の識別
12 事物の識別活動の発形・形成